これはある意味信じがたい実情です。機械化、ロボット導入、ITにAIさらにはDXなど横文字がずらっと並ぶ今日において掛け声とは裏腹に全然伸びがないのです。ちなみにアメリカの労働生産性は1947年から2023年第二四半期までの平均が年2.1%増、2007年から23年までの平均も1.4%です。OECDでの比較は労働生産性は38カ国中23位、就業者一人当たりで見ても28位なのです。

ところで日経に「男性育休に代替要員の壁 職場8割『補充できず』」とあります。補充出来ないほど繁忙なのではなく、管理項目が増えただけで生産性が上がっておらず、結果として人材不足のように見えるのだとみています。

なぜなら繁忙なら労働生産性は上がるべきだからです。要はガバナンスなど社会ルールの変化対応に忙しく、本来あるべき生産活動に十分生かせていないのではないか、と分析しています。

ただ、見方を変えると日本の場合、労働生産性を上げるという取り組みよりも一人でも多くの労働者に労働の機会を与え、共に働くという神道の思想が根付いていることから今後も何をしても労働生産性は上がらないともいえるかもしれません。これは言い換えれば皆さんの給与は社会情勢に合わせて多少は上がるもののドラスティックな変化はありえない、ということになります。

日本には「分かち合う」という発想があります。それが労働に於いてはワークシェアであり、チームワークであり、アメーバ方式なのです。成績優秀で社内から表彰され、特別褒賞がある場合でも個人というより職場単位に提供されるケースが多いのではないでしょうか?

これを否定するつもりはありません。但し、それにしがみつきすぎると冒頭の問題、社会の維持が出来なくなるという問題に直面するのです。主たる労働はロボットにAIがやり、人間は補助的業務に留まるとしてもそれで給与が増えるわけでもないわけでもありません。これは一種のジレンマに陥っているように感じるのは私だけなのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月14日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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