米7月消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想並びに前月と一致した。12カ月連続で上昇した。エネルギーがプラスを保ち、帰属家賃など住宅関連も高止まりしたが、航空運賃や宿泊、中古車などがマイナスとなり市場予想以下の結果につながった。
CPIコアも前月比0.2%上昇し、市場予想並びに前月と変わらず。2020年6月以降続く上昇トレンドを保った。

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FF先物市場は、米7月CPIがコアとそろって前年同月比で市場予想以下だったため、引き続き2024年の3月利下げ転換見通しが優勢となった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFeⅾ番記者、ニック・ティミラオス記者は「6月と7月のインフレ指標は、6月FOMCで参加者が予想したような年内の追加利上げを行う必要を疑問視する内容で、9月利上げの可能性を低下させた」とツイートしていた。
チャート:引き続き、2024年3月利上げ転換を予想
(出所:CME)
CPIの内訳を前月比でみると、原油価格が7月に80ドル台へ戻す過程で、エネルギー(全体の6.8%を占める)が0.1%上昇し、前月の0.8%に続きプラスを維持した。ガソリンも0.2%と2カ月連続で上昇。エネルギー・サービス(公益)は逆に前月の0.1%低下し、前月の0.4%の上昇からマイナスに転じた。電力は0.7%低下し、過去5カ月間で4回目のマイナスに。ガスは2.0%上昇しと6カ月ぶりにプラスに転じた。
食品(全体の13.4%を占める)は6月と同じく前月比0.2%だった(詳細は後述)。
CPIコアは市場予想通り前月比0.2%上昇、市場予想の0.3%と前月の0.4%を下回った。これまで伸びが著しかった住宅関連が鈍化をサポートした。
チャート:CPIの費目別寄与、それぞれ伸びが鈍化
(作成:My Big Apple NY)
食品とエネルギー以外を前月比でみると、航空運賃が4カ月連続で低下したほか、宿泊も2カ月連続で低下すなど、モノからサービスへ需要シフトが指摘される費目が鈍化をリードした。中古車も2カ月連続でマイナスとなり、新車は前月の若干の下落を含めれば4ヵ月連続で低下した。医療サービスも弱い。一方で、自動車保険の伸びが再加速したほか、自動車メンテンス/修繕が上昇トレンドを維持した。コアCPIを押し上げてきた住宅関連は高止まりし、帰属家賃は前月を上回った。家賃は前月と変わらず高止まり。新規契約でマイナスが続くなか、通常1~2年契約という事情もあってサンプルに足元の動向は反映されづらかったが、未だ明確な減速は確認されていない。エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。