また、ベラルーシでロシアの民間軍事組織ワグネルの傭兵たちがポーランド国境周辺で軍事訓練を受けていることから、ポーランドは警戒している。ブワシュチャク国防相は10日、国境警備の強化のため最大1万人の兵士を増派すると表明している。ポーランドはベラルーシと418キロの国境を接している。2021年、数千人の難民が両国間の国境からEUに不法に入ろうとしたことがあった。EU側は当時、ベラルーシのルカシェンコ大統領がEUに圧力をかけるために難民を組織的に国境線に集めていると非難した。いずれにしても、ポーランドの議会選挙は否が応にもウクライナ戦争の影響を受ける。プーチン大統領はポーランド選挙にさまざまな手段を駆使して関与していることは間違いない。
選挙ではPiSが第一党となろうがもはや過半数を獲得することは難しい。一方、野党の元首相で欧州連合(EU)大統領を歴任したドナルド・トゥスク氏率いるリベラル保守主義政党「市民プラットフォーム」がトップになっても、過半数には及ばないだろう。すなわち、投票日後の連立交渉が避けられないわけだ。
ちなみに、ポーランドのPiS政権はハンガリーのオルバン政権と同様、EUとは対立を繰り返してきた。その意味で、ブリュッセルとしては、親EU派のトゥスク氏が勝利して、政権交代が実現することを願っていることは間違いないだろう。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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