ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄附できる仕組み。自治体の多くでは寄附に対する返礼品が用意されており、寄附金控除による節税を図りつつ、各地の名産品をおトクに入手できる。ここでは、ふるさと納税の返礼品として、パソコンやカメラ、家電などがもらえる自治体を紹介しよう。情報は12月2日時点のため、ランキングや返礼品が変わっていることもあるので注意してほしい。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税では、所得税の確定申告時に寄附金控除を受けることで、返礼品となる全国各地の名産品を格安で入手できる。寄附した金額のうち2,000円を超える分は、一定の限度額まで全額が控除されるので、限度額の範囲内の寄附であれば、2,000円の自己負担だけでさまざまな返礼品を受け取れるわけだ。
控除上限額の目安は、独身(または夫婦共働き)で年収400万なら上限額4万1,000円。年収や家族構成が違うと上限額も変わり、たとえば、夫婦と子ども1人(妻は扶養)の世帯で年収700万なら上限額は約6万円となる。上限額についての詳細は総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で確認できる。
キーボード付タブレットPCが2,000円で手に入る
ふるさと納税でもらえる返礼品は各自治体で確認できるが、ふるさと納税を便利に行えるポータルサイトを利用している人も多い。そういったサイトはいずれも返礼品のランキングなどで寄附先を選びやすい工夫がされており、そこから直接、各自治体への寄附を申し込めるようにもなっている。
返礼品の多くは食品や工芸品などの各地の特産品となるが、電機メーカーの工場があるような自治体では、パソコンやカメラ、家電などが返礼品となっていることも多い。
ここではまず、ふるさと納税ポータルサイトの大手「ふるなび」の電化製品カテゴリーの1位から3位までを紹介しよう(2017年12月2日時点のランキング)。
1位 「マウスコンピューター タブレットPC」寄附額 9万円(長野県飯山市)
長野県の飯山市は市内に工場があるマウスコンピューターの複数の製品を返礼品としており、そのうちこのタブレットPCは「ふるなび」電化製品ランキングの第1位だ。
タブレットPC「MT-WN1003-IIYAMA(キーボード標準セット)」のスペックは、2GBメモリ、フラッシュメモリ64GB、画面サイズ10.1型、キーボードが付属。OSはWindows10で、Office MobileプラスやOffice 365サービス(Word/Excel/PowerPoint/Office 365サービス1年間有効)などのOffice製品も付属する。
同様の製品はマウスコンピューターのWebストアでは3万9,800円(税別)で販売されているので、ふるさと納税により実質2000円で手に入れるには、控除上限額が9万円以上でなければならない。
では上限額が9万円以上になるにはどういう条件を満たせばいいのか?
たとえば、独身か夫婦共働き(子どもなし)の場合、年収650万円で上限額が9万7,000円となり、9万円のふるさと納税分のうち8万8000円は確定申告で戻ってくるので、実質2,000円で同製品を入手できることになる。
一方、夫婦共働き+高校生の子1人という家族構成なら、年収750万円で上限額10万9000円となり、やはり2,000円の実質負担で同製品を入手できる。もちろん、それ以上の年収なら上限額も上がるので、実質2,000円で入手可能だ。
以上の条件を満たさない場合でも、たとえば、独身か夫婦共働き(子どもなし)だと年収500万円で上限額が6万1,000円となるので、その場合、2万9,000円の実質負担で同製品を入手できる。これはこれで十分おトクだといえるだろう。
返礼品をおトクに入手するには、ここで説明したように、寄附額と控除上限額とのバランスを考慮する必要がある。これはほかの返礼品についても同じなので、しっかり押さえておきたいポイントだ。
2位 「Dyson Supersonic」寄附額 15万円(佐賀県みやき町)
ダイソンの人気ドライヤー「Dyson Supersonic」は、雑誌『25ans』をはじめ、『美的』や『マキア』などの女性誌・コスメ誌で各種アワードを受賞。パワーのある風と過度の熱によるダメージを防ぐメカニズムより、美しい髪を維持しながらスピーディーに乾かせる点が高い評価を集めている。
Amazonなどでは5万円以上で売られているこの製品も、控除上限額15万円以上の人なら実質2,000円で入手できることになる。独身か夫婦共働き(子どもなし)なら年収900万円で上限額15万1,000円、夫婦共働き+高校生の子1人なら年収950万円で上限額15万4,000円となるので参考にしてほしい。
なお、みやき町にはこのほかにもダイソン製品の返礼品があり、掃除機「Dyson V8 Fluffy+」(寄附額35万円)、ファンヒーター「Dyson Pure Hot + Cool Link ファンヒーターHP03WS」(30万円)、ロボット掃除機「Dyson 360 eye」(寄附額35万円)などが人気だ。
3位 「IH炊飯器」寄附額 4万5,000円(茨城県日立市)
HITACHI発祥の地である日立市で製造されたこのIH炊飯器は5.5合炊きで、約60分かけてしっかり浸し、じっくり蒸らす「極上炊き」がウリの製品。玄米などにも対応するほか、煮込み調理も行える。
独身か夫婦共働き(子どもなし)なら年収425万円で控除上限額4万5,000円、夫婦共働き+高校生の子1人なら年収475万円で上限額4万5,000円となり、実質2,000円でこの炊飯器を入手できることになる。
なお、日立市の返礼品にはこの炊飯器のほか、「空気清浄機」(寄附額3万円)、「掃除機」(寄附額5万円)、「LEDシーリングライト」(寄附額5万円)、「ロボット掃除機」(寄附額27万円)などのHITACHI製品が用意されている。
電機メーカーの工場が集中する長野県の自治体に注目
以上、「ふるなび」の返礼品ランキング・電化製品カテゴリーの1~3位を紹介したが、次に、ふるさと納税の返礼品として電化製品をもらえる自治体をいくつか紹介しよう。なお、ここではカメラ(デジタルカメラ)も電化製品扱いとした。
先に触れたように電化製品を返礼品とする自治体は電機メーカーの工場を抱えているケースが多く、中でも、各社の工場の集中する長野県にそのような自治体がよくみられる。
長野県飯山市
飯山市では、同市が発祥の地であるiiyamaブランドの24型ワイド液晶ディスプレイ(寄附額4万5,000円)や、家庭の電化製品をWi-Fiネットワークで結び、スマートフォンなどで管理するIoT製品「スマートホーム スターターキット5点セット」(寄附額5万5000円)などが返礼品となっている。
長野県伊那市
伊那市では、「TANITAのブレスチェッカー」(寄附額1万5,000円)、「アルインコの足湯器」(寄附額1万5,000円)、「T-falの電気ケトル」(寄附額2万5,000円)などが返礼品となっている。
長野県岡谷市
岡谷市では、「高級シルクを作ったLEDテーブルライト」(寄附額6万円)、「ソーラー式LED灯篭用灯火」(寄附額4万円)などが返礼品となっている。このうち前者はシルク製造の町として知られる岡谷市ならではの製品といえそうだ。
長野県塩尻市
塩尻市では、「家庭用プロジェクター」(寄附額2万6,000円)、「登山用GPSウォッチ」(寄附額18万円)、「GPSランニングウォッチ」(寄附額5万円)、「プリンタ」(寄附額11万円)など、EPSONの各種製品が返礼品となっている。
長野県下諏訪町
下諏訪町でもまた、「プリンタ」(寄附額15万円)、「ホームプロジェクター」(寄附額40万円)、「ビジネスプロジェクター」(寄附額80万円)など、EPSONの各種製品が返礼品となっている。
なお80万円の寄附となると、多くの人が控除上限額を超えてしまうことになる。その場合、市販価格を上回る部分については純然たる寄附になると考えていいだろう。その自治体の財政に貢献したいという思いがあるなら、そういう形でのふるさと納税もいいだろう。
宮城県多賀城市にはソニーの各種製品がずらり
電化製品を返礼品としてもらえる、そのほかの地域の自治体もみてみよう。
宮城県多賀城市
宮城県の多賀城市にはソニーの工場があり、同社製品が数多く返礼品となっている。たとえば、「シンセサイザーラジオ」(寄附額4万円)、「学習マルチリモコン」(寄附額6万円)といった小物家電のほか、「デジタルスチルカメラ」(寄附額10万円)、「デジタルハイビジョン液晶テレビ(24インチ)」(寄附額12万円)、「ウォークマン(メモリータイプ・64GB」(寄附額15万円)、「ブルーレイディスク/DVDレコーダー(寄附額16万円)、「デジタル4Kビデオカメラ レコーダー」(寄附額44万円)などのAV製品が返礼品として用意されている。
多賀城市におけるソニー製品の返礼品には廉価なものもあり、その1つが「25GBビデオ用ブルーレイディスク(2パック・22枚入り)」(寄附額1万円)だ。これなら、ほとんどの人が控除上限額以内で入手できるだろう。家電量販店では同等品の20枚入りが2,500円以上するので、それより少し安く入手できることになる。
静岡県小山町
静岡県小山町の返礼品には、電化製品を含むアイリスオーヤマの製品が多数用意されている。電化製品には「電気ケトル(1L)」(寄附額1万円)、「全自動コーヒーメーカー(豆挽き機能付)」(寄附額1万円)など少ない寄附額でもらえる返礼品があり、後者で言うと、家電量販店で6,600円程度の製品が実質2,000円で入手できることになる。
大阪府大東市
大阪府大東市の返礼品には象印製品がいくつか用意されている。トースト4枚が同時に焼け、手作りパンを発酵から焼き上げまで行える「マイコンオーブントースター」(寄附額2万5,000円)が人気のほか、「スチーム式加湿器」(寄附額5万円)、「マイコン沸とう電気まほうびん」(寄附額3万円)、「IH炊飯ジャー(5.5合)」(寄附額4万円)「ふとん乾燥機」(寄附額4万円)、「全自動コーヒーメーカー」(寄附額7万円)などが返礼品となっている。
このほか大東市には朝日電器の「AM/FMスピーカーラジオ」(寄附額5,000円)、「充電式AM/FMスピーカーラジオ」(寄附額5,000円)、「AM/FM短波ラジオ」(寄附額5,000円)などの返礼品もある。
神奈川県海老名市
神奈川県の海老名市では、「PENTAXのカメラ」(寄附額30万円)、「全方位が撮影できるデジタルカメラ」(8万円)などが返礼品となっている。
神奈川県綾瀬市
神奈川県の綾瀬市では、「CanonのEOSシリーズのカメラ」各種が返礼品となっており、寄附額は18万円からとなっている(金額はカメラのグレードによって異なる)。
京都府大山崎町
京都府の大山崎町では、「モバイルバッテリー」(寄附額1万円)、「光触媒 除菌・消臭器」(寄附額5万円)などマクセルの電化製品が返礼品となっている。現在市販されているモバイルバッテリーの多くと違い、ここでもらえる製品は日本製なので、品質面でも信頼できそうだ。
大阪府岬町
大阪府の岬町では、「加湿空気清浄機」(寄附額12万円)、「加湿セラミックファンヒーター」(寄附額8万円)、「サイクロン掃除機」(寄附額10万円)、「プラズマクラスターイオン」(寄附額5万円)など、シャープの電化製品が返礼品となっている。
以上、家電やパソコン、AV機器、デジタルカメラなどをふるさと納税の返礼品としてもらえる自治体を紹介したが、通販などと違い、いずれも個数が限定されているので人気製品はすぐになくなってしまうことがある。その点は注意したいところだ。
文・MONEY TIMES 編集部
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