スズキ・スイフトスポーツ 価格/202万8400〜209万9900円 試乗記

【新世代スポーツ研究】スイフトスポーツは愉快、痛快、リーズナブル! FFホットハッチの代表である!
(画像=スズキ・スイフトスポーツ/価格:6MT 202万8400円/6SAT 209万9900円。エキサイティングな走りを追求した本格FFスポーツ。車重は1トンを切る。パワーウェイトレシオは6.93kg/ps(MT)、『CAR and DRIVER』より引用)

1.4リッター・ターボは純スポーツチューン。まさに気持ち昂る!

Kカーであっても200万円超えが珍しくないなど、価格上昇に歯止めが掛からない昨今のニューモデル。そんな状況から、「もはや本格スポーツモデルを新車で手に入れるのは「夢物語」になってしまった」と思いきや、いい意味でそうした考えを裏切ってくれるのがスイフトスポーツだ。

価格は6速MTで202万8400円、6速ATでも209万9900円とリーズナブル。まずはこの価格設定に、気持ちが昂る。
何しろ、現代のモデルに必須ともいえるADASや快適装備を備えながら、200万円台の前半で十分手に入れられるのである。これは大きな魅力だ。価格表をしげしげと見返してしまった、という人はひとりやふたりではないだろう。

【新世代スポーツ研究】スイフトスポーツは愉快、痛快、リーズナブル! FFホットハッチの代表である!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【新世代スポーツ研究】スイフトスポーツは愉快、痛快、リーズナブル! FFホットハッチの代表である!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

しかもスイフトスポーツは、ハイパフォーマンスモデルとしてのこだわりも深い。エンジンは歴代初のターボ。1.4リッターDOHC16Vターボは140ps/5500rpm、230Nm/2500〜3500rpmを発揮する。
このエンジンは、ターボの制御にひと工夫がある。ウェイストゲート・バルブが「ノーマルクローズ方式」なのだ。通常はウェイストゲート・バルブを閉じておくことでターボの回転数を高めに保ち、応答遅れの減少を優先させている。燃費重視ターボでは一般的な開吸排気損失を減らす「ノーマルオープン制御」は採用していない。また、希少な6速MTを設定しているだけでなく、2ペダルトランスミッションは以前のCVTを6速ステップATに改めたうえで低めのギアレシオを選択した点もポイントだ。エンジンもトランスミッションも、徹底的に動力性能を優先させた設計思想が興味深い。

そして、そうしたパワーパックからの出力を受け止めるシャシーも本格派である。サスペンションメンバーの締結点を増やしてストラットの外径をアップ、リアはトレーリングアームの板厚を増すなど大幅に強化した。スイフト・シリーズの一員ながら、実にきめ細かい専用チューニングが施されているのである。

スイフトスポーツの走りはなかなか骨太で感動モノだ。前述のこだわり効果で、アクセルの踏み込みに対する加速力の発生は、うっかりするとターボであることを忘れるほどリニア。回転の高まりに連れての頭打ち感などは皆無だ。
その一方で1000rpm以下にまで回転が落ち込んでも、そこからジワジワとリカバリーが可能な柔軟性もしっかり備えている。

【新世代スポーツ研究】スイフトスポーツは愉快、痛快、リーズナブル! FFホットハッチの代表である!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【新世代スポーツ研究】スイフトスポーツは愉快、痛快、リーズナブル! FFホットハッチの代表である!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

魅力的なエンジンに負けない剛性感に富んだフットワークのテイストも、スイフトスポーツならではと紹介することができる。軽やかで自在なハンドリング感覚は、走りの大きな見どころだ。

価格を含めた「身の丈感」の高さと、まさに「日本にピッタリ」といいたくなるコンパクトなサイズも魅力である。
雰囲気がスポーティなだけでなく、その中身もしっかりと仕上げられているスイフトスポーツは、世界が忘れつつあるコンパクトでカジュアルな本格スポーツの代表といっていい。
走りが存分に楽しめる、昂る1台である。