あの当時、会社分割は企業価値を高めるか、という議論があったと思いますが、私がそれらの会社に投資をしている限りにおいて「高められた」と考えています。但し、割れば何でもよくなるという発想ではなく、経営資源を集中させるという意味合いであります。その場合、経営陣が企業戦略構築に長けていればよいのですが、社内の専門家達が「おらが村自慢」をして足の引っ張り合いをしてしまえば結局うまくいかないことにもなりえます。
最後に私は東芝の株主にそうたる企業がずらっと並んだ形で非上場になることに非常に懸念をしています。東芝の経営陣はたぶん、経営方針やプロダクトを巡りそれら20数社との調整に明け暮れ、尖がった製品が出せず、株主の意向をうまく取り入れることに専念しなくてはいけなくなるとみています。この間違いも日本企業は何度も何度も犯しています。その点からすれば東芝劇場は最終回を迎えたけれど結局学んでいないし、成長する芽も生み出せるのかという点で大いなる疑問を残しながらのTOB成立までの最後のストレッチとなる気がしています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月8日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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