(中略)中国は、台湾周辺での一連の活動を通じ、中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図しているとみられる。
加えて、「台湾をめぐる中国の軍事動向」と題した「解説」欄で、こう警鐘を鳴らす。
中国は、台湾周辺における一連の活動を通じ、中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図しているとみられます。2022年10月の第20回党大会において、習近平総書記が両岸関係について、「最大の努力を尽くして平和的統一の未来を実現する」としつつも、「武力行使の放棄を決して約束せず、あらゆる必要な措置を講じる選択肢を留保する」との姿勢を表明する中、このような中国軍による威圧的な軍事活動の活発化により、国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定については、わが国を含むインド太平洋地域のみならず、国際社会において急速に懸念が高まっています。
他のポイントについては、7月29日付「朝日新聞」朝刊記事を借りよう。
ロシアについては、ウクライナ侵攻の長期化で通常戦力が大幅に損耗している可能性を指摘し、「核戦力への依存を深めると考えられる」と分析。中ロが日本周辺で繰り返し実施している爆撃機や艦艇を使った共同活動は「わが国に対する示威活動を明確に意図したもの」とし、中ロの連携強化に「重大な懸念」を表明した。弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮については「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と強調した。
加えて言えば、同日付朝日朝刊が別の記事で、こう報じている。
朝鮮の朝鮮中央通信は28日、「戦勝記念日」と位置づける朝鮮戦争の休戦協定締結から70年の27日夜、平壌の金日成広場で軍事パレードが行われたと報じた。金正恩総書記はロシアのショイグ国防相、中国共産党の李鴻忠政治局員と並んで観覧。米国と対立する3カ国の結束を誇示する狙いがあるとみられる。
軍事パレードで、ICBM「火星18」や「火星17」、ドローン兵器を含む最新兵器の映像を公開し、自身の軍事力と中朝ロの結束を誇示した。白書を報じた朝日記事は、こう結ぶ。
白書では「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」として、防衛力の抜本的強化を訴えた。昨年12月に安全保障関連3文書を策定し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を決めたことや、23~27年度の防衛費をこれまでの1.5倍超の約43兆円に増やすことなどを紹介している。(田嶋慶彦)
そのとおりだが、朝日は今年五月三日付「社説」で「岸田政権が踏み切った敵基地攻撃能力の保有」を『日本の防衛の基本方針である「専守防衛」を空洞化させるもので、判断を誤れば、国際法違反の先制攻撃になりかねない。相手国からの攻撃を誘発する恐れもある』などと批判していた。
最新白書を虚心坦懐に読めば、そうした批判が当たらないことが容易に理解できる。今回、朝日にしては珍しく「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」を咎めなかったのは、そうした理由なのだろうか。一購読者としては、ついに朝日が悔い改めたと思いたい。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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