2020年11月11日、トヨタがクラウンセダンの生産を現行型で終了する方向で最終調整に入ったことが分かりました。ネット上では早くも関連ツイートが拡散され、衝撃を受ける声が相次いでいます。
目次
クラウンが現行モデルで生産終了へ?
クラウンが生産終了になる理由は
最新のクラウンはどんな車?
クラウンの販売台数は?売れてる?売れてない?
生産終了後に誕生すると噂されるクラウンSUVとは?
クラウンが生産終了したらパトカーはどの車種が採用される?
クラウンの生産終了に伴う世間の反応・意見は?
今後のクラウンはどうなる?
クラウンが現行モデルで生産終了へ?
クラウンはトヨタのフラッグシップモデルともいえる車。「いつかはクラウン」の有名なキャッチコピーがあるように、大人になったら乗りたいステータス車の代表格として不動の存在でした。
情報によれば、現行クラウンが生産終了した後、SUVに似た形の新型車が2022年に登場し、日本、北米、中国に投入されるとのこと。
プラットフォームは現在アメリカで販売されているSUV「ハイランダー」と同じものを使用し、現行クラウンよりも車高は高めに設計されると報じられています。
しかし一方で、クラウンを愛用してきた国内ユーザーのために、新型SUVの発売後も数年は現行型の生産・販売を続ける可能性があります。
現在、新生カローラシリーズと、従来のカローラアクシオとカローラフィールダーが併売されているようなイメージです。
クラウンが生産終了になる理由は
クラウンは日本専売モデルとして1955年から販売されてきました。
しかし、セダンは現在の新車販売において人気車種とはいえませんし、国内市場だけでは販売・売上を継続するのが難しくなっています。
クラウンが生産終了になる理由としては、トヨタが開発車種の絞り込みを進めていることが挙げられます。
日本専売車であるクラウンを製造・販売し続けることは、マーケットが小さいことやセダンの売れ行きが芳しくないことから、トヨタにとって大きなメリットはないからです。
トヨタは、グローバルなクルマづくりの構造改革として、基本性能と商品力を大幅に向上させる「Toyota New Global Architecture(TNGA)」という取り組みを推進しています。
高品質・低コストで量産可能なクルマづくりのためには、グローバル市場で安定して売れる車種に注力する必要があるのです。
SUV人気に対応する方針か
現在、世界で安定した人気があるのはSUV。実用性とデザイン、走行性能のバランスがよく、ボディサイズにもバリエーションがあるため、グローバルユーザーのライフスタイルに最もマッチしているためと思われます。
トヨタもここ数年で、小型SUVのライズやクロスオーバータイプのヤリスクロス、ミドルサイズオフロードSUVとして国内復活したRAV4など、SUVのラインナップを充実させています。
新たなラインナップとして、完全なる新型SUVが登場することは戦略から見ても自然といえるでしょう。
最新のクラウンはどんな車?
現行クラウンは2018年にデビューした15代目。先代の「アスリート」「ロイヤル」「マジェスタ」という名前を廃止して、「RS」というスポーティグレードを設けたことで話題になりました。
デザインは若返りを図り、流線型のシルエットへ。欧州セダンのような装いやハイブリッドモデルでも2本出しマフラーを採用するなど、これまでの高級路線とはひと味ちがう方向に舵を取っています。
直近では2020年11月2日にマイナーチェンジが行われました。
ホイールやテールライトの他はほとんど見た目の変化がありませんが、純正カーナビまわりの仕様変更と安全装備の追加、選択できるシートバリエーションの追加などが行われました。
クラウンの販売台数は?売れてる?売れてない?
クラウン販売終了と噂される大きな理由に「売れ行きが悪いから」が挙げられています。編集部ではクラウンの売れ行きについて、2016年~2020年の自販連のデータを元に調査してみました。
年 | 順位 | 販売台数 | 前年比 | トヨタ車の総販売台数 | クラウンの割合 |
2016 | 23位 | 39,813 | 89.8 | 1,535,031 | 2.59% |
2017 | 28位 | 29,085 | 73.1 | 1,584,849 | 1.84% |
2018 | 19位 | 50,324 | 173 | 1,503,197 | 3.35% |
2019 | 26位 | 36,125 | 71.8 | 1,551,204 | 2.33% |
2020(1~6月) | 30位 | 11,826 | 54.1 | 806,305 | 1.47% |
2020(1~10月) | – | 18,585 | 0.51 | 1,194,228 | 1.56% |
平均年間販売台数は38,837台で、フルモデルチェンジした2018年は50,324台(19位)でした。
しかし、軽自動車も含めればさらに順位は下がってしまうでしょうから、「売れている車」とは言い難いでしょう。
トヨタ車の総販売台数から見ても、クラウンが占める割合は1.5~3.3%ほど。ちなみに、国産セダンのみの売れ行きに着目するとプリウスがケタ違いに売れており、ブランド通称名ランキングでも何度も1位になっています。
これに対しクラウンは他メーカーのセダンに比べれば売れている、といった順位。まとめると、クラウンは「SUVやコンパクトカーには劣るものの、国産セダンの中では売れているほう」と言えそうです。
車種の少ない国産セダンの中でクラウンは人気車種と言ってよいため、販売終了の情報がもたらした衝撃の大きさにも頷けます。
生産終了後に誕生すると噂されるクラウンSUVとは?
現行クラウンの生産終了後には、クラウンのブランドイメージを受け継ぐモデルとして「SUVに似た形の新型車」が誕生するという情報です。
現行クラウンのイメージである「高級」「スポーティ」などの要素から予想すると、ハリアーよりさらに高級路線のクーペSUVなどになるのでしょうか?
情報によれば、新型車はアメリカで販売中のSUV「ハイランダー」と同じプラットフォームを使用するとのこと。「ハイランダー」という名前に引っかかりますが、このプラットフォームは「GA-K」というもので、カムリやレクサスES、RAV4、ハリアーなどにも使用されています。
現行ハイランダーはトヨタRAV4とインフィニティQX50を足したようなデザイン。クラウンとは似ても似つかぬデザインですが、あくまでトヨタはグローバルに販売するSUVに共通のプラットフォームを使用するということなのでしょう。
”クラウンSUV”と現行ハイランダーのデザインはあまり関係がなさそうです。
FRレイアウトは廃止?
トヨタはSUV人気を重視しつつ、クラウンのブランドイメージは維持するとのこと。しかし注目したいのは、その1つであるFRレイアウトはどうなるの?ということです。
GA-Kプラットフォームに基づいて新型SUVを作ったら、FRにすることは難しいでしょう。「これはクラウンのブランドイメージを残していると言えるのか?」という点は、クルマ好きの間でも議論されそうですね。
新型SUVは2022年にデビューとなれば、2021年の東京モーターショーでお披露目されるかもしれません。新型SUVの車名に「クラウン」が使われるかどうかにも注目です。
ちなみに、レクサスが北米で新型SUVを投入との噂も。
クラウンが生産終了したらパトカーはどの車種が採用される?
クラウンといえば、パトカーとしても有名な車種です。クラウンセダン販売終了の情報が拡散されるなか、ネット上では「パトカーはどうなるの!?」という声も散見されました。
現時点でパトカーおよび覆面パトカーとして使われているクラウンは、引き続き使用されるでしょう。
また、トヨタは国内ユーザーのために、新型SUVの発売後も数年は現行型の生産・販売を続ける可能性があるため、新型パトカーにも引き続き現行クラウンが流用されるかもしれません。
もしくは、パトカーとして入札するために現行クラウンが生産され続ける可能性もあります。
覆面パトカーとして続投の可能性も
特に覆面パトカーは、サイズやドア枚数、ピラーの有無など入札条件が厳しく、条件を満たした車の開発コストがかさんでしまいます。近年クラウン以外のパトカーも増えましたが、ライバル不在状態で引き続きクラウンが覆面パトカーに採用される可能性はあるでしょう。
ちなみに、クラウン以外のパトカーとしては、スバル レガシィや日産 スカイラインなどが挙げられます。最近は使い勝手や偽装のしやすさなども考慮して、ミニバンやコンパクトカー、ハッチバックや軽自動車も増えているようです。
クラウンの生産終了に伴う世間の反応・意見は?
クラウン生産終了のニュースが発表され、Twitterを中心にネットではさまざまな声や意見が飛び交っています。それらを収集したところ、大きく4つに分けられるようです。
生産終了は仕方ない…
車を買う側としても「やはりセダンは人気がないから…」「SUVが人気だから…」という声もありましたが、それと同じくらい目立ったのが「かつてクラウンを買う層だった人は、別の車を選んでいる」というもの。これは現行クラウンの良し悪しよりも、ユーザーの価値観や収入とも大きく関係がありそうです。
とくに、クラウンはトヨタブランドの最高級セダンではあるものの、現在の国産高級車としてはレクサスのブランドイメージが強いことも、その要因かもしれません。
なくなるなんて悲しい!
なくなってしまうことを悲しむ声は、非常に多く聞かれました。クラウンを乗っている/かつて乗っていたユーザー以外からも悲しみの声が挙がっていたことからも、「クラウン」という名前や車への愛着は多くの人に根付いていると言えるでしょう。
もちろんトヨタとしてもそれはじゅうぶん承知のはず。断腸の思いで調整を行っているのではないでしょうか。
クラウンがなくなったら◯◯はどうなるの?
生産終了を惜しむ声が多い中で、かなり冷静な分析をしている人々も。話題に挙がっていたのは主にパトカーでした。
現在、パトカーおよび覆面パトカーに採用されている車種やメーカーはトヨタだけではありませんが、やはり大多数を占めるのはクラウンです。TVやドラマなどのイメージで「パトカー=クラウン」という印象が強いこともあり、クラウンで生産終了でパトカーに使える車がなくなってしまうのではないかと心配する声も挙がっています。
前述の通り現行クラウンが完全に生産終了となるのはまだ少し先と思われますが、その間にトヨタや他メーカーの別車種が採用されるかどうかにも注目したいですね。
SUVにする意味ある?
トヨタがSUVメインの生産・販売に切り替えることについて、疑問の声や否定的な意見もありました。SUV人気がいつまで続くのかわからないまま、伝統の車名をなくしてしまってよいのか?というものです。
また、国産車・外車合わせてSUVが増えていることから「SUVばっかり新型が出る」「こんなに要らない」という声も。売れ筋を推していく戦略が過ぎると、ユーザーの多様なニーズに応えることができなくなるので、トヨタとしても迷いどころでしょう。
トヨタクラウンの生産終了報道についておさらい
クラウンの販売台数は?売れてる?売れてない?
編集部がまとめた2016年から2020年にかけてクラウンの販売状況だと商用車、軽自動車を除く国産車名(ブランド通称名)の販売台数ランキングでは、2016年~2019年において20位~30位付近にランクインしています。平均年間販売台数は38,837台で、フルモデルチェンジした2018年は50,324台(19位)でした。
しかし、軽自動車も含めればさらに順位は下がってしまうでしょうから「売れている車」とは言い難いでしょう。
今後のクラウンはどうなる?
現行クラウン生産終了の噂は、インターネットでもかなり注目を集めています。
今後のクラウンとして予測されるのは、トヨタはSUV人気を重視しつつクラウンのブランドイメージは維持するとしているので「SUVに似た形の新型車」がまず挙げられます。
次に、現行クラウンなどに使用されているFR用プラットフォーム「GA-L」が次期型MIRAIに採用されるという情報から、MIRAIがFR化されれば、現行クラウンセダンの後継モデルの立ち位置となるかもしれません。
クラウンの生産終了が噂される理由とは
いくつか理由が考えられますがセダンは現在の新車販売において人気車種とはいえませんし、国内市場だけでは販売・売上を継続するのが難しくなっています。
クラウンが生産終了になる理由としては、トヨタが開発車種の絞り込みを進めていることが挙げられます。
高品質・低コストで量産可能なクルマづくりのためには、グローバル市場で安定して売れる車種に注力する必要があるのです。
今後のクラウンはどうなる?
現行クラウン生産終了の噂は、インターネットでもかなり注目を集めています。「クラウン」という名前のセダンが無くなるかもしれないということは、普段クルマに注目していない人にも衝撃を与えているようですね。
しかし、トヨタが推進するTNGAはメーカーとユーザー、双方に利益をもたらすもの。市場のニーズや環境問題などで変化し続ける世界において、多くのユーザーによい車を届けるための戦略です。
ちなみに、現行クラウンなどに使用されているFR用プラットフォーム「GA-L」が次期型MIRAIに採用されるという情報もあります。MIRAIがFR化されれば、現行クラウンセダンの後継モデルの立ち位置となるかもしれませんね。
MIRAIに関しては「クラウンセダンの後釜として官公庁車やパトカーの役割を引き継ぐのでは?」との見方も。燃料電池車のMIRAIは、菅総理による「カーボンニュートラル宣言」の方針とも合致しており、2050年に向けて温室効果ガスを削減していくためには有効な存在です。
実はすでに次期型MIRAIは、FR化&5人乗りとなることが予想されており、クラウンセダンの実質的な後継となることはありえる話です。次期型MIRAIのスペックやデザイン予想はこちらの記事で紹介しています。
2021年の東京モーターショーまでにはトヨタからの公式発表があると期待して、「クラウン」の新たな船出に注目しましょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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