自身や身近にいる人たちを対象に「ここで暮らすための建築」に向き合いたいと願い、淡路島を拠点に活動する一級建築士事務所・HIRAMATSUGUMI(ヒラマ ツグミ)。

同事務所は、淡路島の作家・アーティストと共創し、日常の中にある美を見つめる企画展 「建築への手がかり展 vol.2 – 日常の事実-」を 8月25日(金)〜 9月3日(日)にわたり開催する。

日常の中の現象に焦点を当てた「建築への手がかり展」

何気ない日常の中に建築は息づいている。それは、その場に明確に存在するものではなく、空気が動く・光が入る・触れる・居るといった自然の働きかけや人の動きによって、たちまちその存在が立ち現れる。

「建築への手がかり展」は、“時にはそっと、あるいは、心を揺さぶられる”ような日常の中の現象に焦点を当て、新たな創造への手掛かりとする取り組みだ。

同展を主宰するのは、一級建築士事務所・HIRAMATSUGUMIだ。同事務所は、洲本市中川原町という周囲を自然に囲まれた場所をベースに、工芸作家の作品や暮らしの品を集めたギャラリー、食を通して暮らしと土地に向き合うカフェを併設する。

建築にまつわる実験的な取り組み、オリジナルプロダクト開発に向けたスタジオも始動。地の素材を使ったものづくりにも取り組む「淡路島の家」「JINO」。さらに、古民家再生プロジェクト「recominca」など、島の人々とともに様々な活動を行う。

展示のテーマは岡倉天心氏が綴った「日常の事実」

「日常生活のむさくるしい諸事実の中にある美。それは本質的に不完全なものの崇拝であり、人間と自然に関するわれわれの全見解を表現している。」と岡倉天心氏は『茶の本』の冒頭に綴った。

ヒラマ ツグミは、岡倉天心氏のいう「日常の事実」という言葉を指針にして、いつもと同様に日常を過ごしつつ、そこにある事実、その中にある美を、少しだけ姿勢を整えて探してみたという。

「建築への手がかり展 vol.2 -日常の事実-」では、淡路島の作家とHIRAMATSUGUMIが、日常の中にあるゆるぎない事実を、各々の視点で見つけ・考え・表現する。何か具体的なものになる、一歩手前の柔らかい状態のそれぞれ見つめる「日常の事実」を同展では表現する。

書家・現代アート作家・美術家をはじめとする作家が参加

同展への参加作家は、HIRAMATSUGUMIの他、書家・現代アート作家・美術家・木工家・ジュエリー作家の4名が参加した。作家たちが、各々の視点で見つける「日常の事実」を、様々な素材と技法を用いて表現する。

また、会期中に「-淡路島の小屋-」も展示。淡路島の木の製材・淡路瓦・土壁などの素材を使用した家づくりを提案する「淡路島の家プロジェクト」 から生まれた小屋は、8月下旬に誕生し、今後販売化も予定しているという。

豊かな自然、環境の力を受け、真摯に伸びやかに制作活動に向き合う作家・アーティストたちの作品が鑑賞できる「建築への手がかり展 vol.2 -日常の事実-」。この夏、淡路島で「日常の事実」を体感したい。

建築への手がかり展 vol.2 -日常の事実-
開催場所:HIRAMATSUGUMI
所在地:兵庫県洲本市中川原町中川原555
会期:8月25日(金)~9月3日(日) 11時~17時 ※カフェは 8月25日(金)・8月26日 (土)・9月1日(金)・9月2日 (土)のみオープン
定休日:会期中無休

(高野晃彰)