私はFP(ファイナンシャルプランナー)として、お金に関する様々な相談を受けています。そのなかで特に多いのが「保険についての相談」です。そうした経験をもとに保険に関する本も何冊か上梓しました。
最近では『よい保険・悪い保険 徹底見直し編』(宝島社発行)の監修を務めました。FPのアンケート調査をもとに、様々なジャンルの「保険のランキング」を紹介したムック本です。
今回はそのランキングから「自動車保険のランキング」を取り上げ、自動車保険の選び方について解説しましょう。
自動車保険ランキング「ベスト5」は?
自動車保険ランキング「ベスト5」は以下の通りです。
1位:イーデザイン損保「自動車保険」
2位:SBI損保「自動車保険」
3位:チューリッヒ保険「スーパー自動車保険」
4位:富士火災「ベリエスト」
5位:東京海上日動「トータルアシスト」
1位の「イーデザイン損保」は、3年連続の1位となりました。東京海上グループという安心感とダイレクト型の保険料の安さで支持を集めました。同社の保険は、2016年7月から「無事故割引」というサービスをスタートしています。
2位の「SBI損保」は、2016年10月に自動車保険を改定して「走行距離区分」を導入しました。走行距離が多い人にとっては残念ですが、それでも保険料は低めです。
3位の「チューリッヒ保険」は、豊富なロードサービスが特徴です。たとえば、ペットのためのペットホテル代、帰宅費用なども補償しています。
4位の「富士火災」のベリエストは、社員による24時間の初期対応が特徴です。他社では対応するスタッフをアウトソーシングしているケースが多いのですが、富士火災は社員が24時間対応しています。
5位の「東京海上日動」は販売件数トップです。夜間・休日を問わない事故相手への連絡、代車の手配など初期対応サービスが特徴です。
どちらを選ぶ? 「ダイレクト型 VS 代理店型」
さて、今回のランキングで特徴的なのが、ダイレクト型と代理店型の順位です。1位から3位までが、ダイレクト型。4位と5位は、代理店型に分かれています。
自動車保険を評価するときに「ダイレクト型か?」「代理店型か?」で良く意見が分かれます。今回のランキングも例外ではなく、お金の専門家であるFPのアンケートでさえ評価が分かれました。
ダイレクト型のメリットは「保険料が安い」ということです。代理店型と比較すると、半分近くまで差が出るときがあります。
しかし、代理店型には「事故対応の安心感」があります。
「24時間365日事故受付」の落とし穴?
自動車保険の宣伝文句で、「24時間365日事故受付」があります。ここで注意したいのが「事故受付」と「初期対応」は違うことです。
コールセンターによる24時間365日の「事故受付」は、いまや珍しいことではありません。重要なのは事故を受付けたあとの「初期対応までの時間」です。
たとえば、金曜日の深夜に事故が起きた場合、コールセンターへ連絡します。でも、担当者からの連絡は「月曜日になります」というのでは、土日は不安な時間を過ごすことになりますね。決して冗談ではなく、以前のダイレクト型の保険会社では、そんな対応をしているところもありました。
現在はずいぶん改善されてきて、ダイレクト型の保険会社も土日・祝日でも「初期対応」をするところがほとんどです。ただ、不安な場合は念のため確認をとることをお勧めします。たとえ土日・祝日も対応していたとしても「対応可能な時間帯」が保険会社によって異なりますので、あわせて確認しておきたいところです。
一方、代理店型については、富士火災、あいおいニッセイ同和損保などはWebサイトで「24時間365日初期対応」を明記しています。ただ、Webサイトで明記していなくても「申し込んだ代理店の担当者に連絡をすれば」対応してくれるところもありますので、こちらも事前に確認することをお勧めします。
「プロの代理店」とそうでない代理店がある
注意しなければならないのは、すべての代理店型で事故の際に「(申し込んだ代理店の)担当者が対応してくれるわけではない」ことです。
代理店は、2種類に分かれます。すなわち、(1)保険を販売する「プロの代理店」と、(2)自動車を販売する自動車販売店、及び修理工場などで保険を販売する代理店です。
自動車販売店は自動車販売のプロ、修理工場は修理のプロですが、必ずしも保険に詳しくはないかも知れません。事故の際に安心できるサポートを受けたいのであれば「プロの代理店」を選ぶのが賢明でしょう。
ただ、来店型の保険代理店の担当者も、保険には詳しくても、自動車事故には詳しくはない可能性もあります。判断基準は人それぞれですが、私自身は保険料の安いダイレクト型の保険を選んだ方がずっといいと考えています。
代理店の担当者は「誰の味方」なのか?
ところで、自動車保険の「プロの代理店」の人から、こんなエピソードを聞きました。やはり事故対応の相談を受けることが多いそうですが、あるお客様から「あなたは、私の味方ですよね?」と言われたそうです。
このとき、彼は言葉に詰まってしまったといいます。自動車保険の代理店は、保険会社からの販売手数料でビジネスが成り立っています。どちらの味方か? ということになると、保険会社の意向に沿わざるを得ない関係にあります。
もちろん、代理店にとっては契約するお客様も大切です。彼は「できるかぎり、お客様の立場にたって相談を受けることにしている」ということでした。
文・長尾義弘(NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP)/ZUU online
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