生活する上で、欠かせないものとなっている「プラスチック」。その「プラスチック」の多くは、利用後にきちんと処理されず、河川を通じて海に流出しており、現在も海の生態系に甚大な影響を与えています。そんな「海洋プラスチック」を原料として使った、オフィス用のイスを販売している企業があったので詳細を紹介していきます。

(アイキャッチ画像提供:アイリスチトセ株式会社)

海洋プラスチックで作るオフィス用の椅子に注目 1脚で2.35kgの再生樹脂使用

海洋プラスチックとは

「海洋プラスチック」とは、洋服や自動車など、生活のあらゆる場面で使用されているプラスチックが、直接海や川に捨てられ、最終的に海洋を漂うプラスチックごみのことを指します。

海洋プラスチックで作るオフィス用の椅子に注目 1脚で2.35kgの再生樹脂使用 海岸に打ち上げられたプラスチックごみ(提供:アイリスチトセ株式会社)

プラスチック製品は丈夫で長持ちするために、一度海に流れついてしまうとほとんど分解されることなく、海洋生物の生態系や私たちの生活にも悪影響を及ぼします。

海洋プラスチックの量

海洋プラスチックの量は極めて膨大な量で、世界全体で、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しています。このままいくと、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が、世界中の魚の総重量を越えるとの試算もされています。

海洋生物や人類への影響

海洋プラスチックは海洋生物や、沿岸部に棲む人類に影響を与えています。海洋生物の事例として、死んだ海鳥の胃の中から誤って食べたプラスチックが多く見つかり、魚の胃の中からも細かいプラスチックが発見されています。海洋プラスチックを流出させている人類にも影響を及ぼしており、観光業、漁業、船の航行障害などが事例として挙げられます。

日本における海洋プラスチック

我が国日本でも海洋プラスチックは、毎年約2~6万トン程度流出しているという報告があります。

国別流出量としては30位と、アジアの中でも高い流出量で、主な海洋プラスチックとしては、

プラスチックボトルやポリ容器・プラ容器が多く、この中には釣り用具や、釣り餌の包装容器も含まれます。

※引用
・環境省 環境・循環型社会・生物多様性白書(2020)
・Jambeckら : Plastic waste inputs from land into the ocean, Science (2015)

海洋プラスチックがオフィスチェアに

世界中で問題となっている「海洋プラスチック問題」ですが、解決の為に、今さまざまな国や企業がこの問題について取り組んでいます。

海洋プラスチックで作るオフィス用の椅子に注目 1脚で2.35kgの再生樹脂使用 オフィスチェア「OBPシリーズ」(提供:アイリスチトセ株式会社)

アイリスグループのアイリスチトセ株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:大山紘平)が生産・販売するオフィスチェア「OBPシリーズ」もその一つです。

「OBPシリーズ」

2022年に海洋プラスチック再生樹脂を原料とした、オフィスチェア「VIGOR-OBP(ヴィガーオービーピー)」は発売されました。この「VIGOR-OBP(ヴィガーオービーピー)」は1脚あたり2.35kgの海洋プラスチック再生樹脂を原料として使用。その後も、更なる海洋プラスチックごみの削減とチェアに対するニーズの多様化に対応するためラインアップを拡充しています。

海洋プラスチックで作るオフィス用の椅子に注目 1脚で2.35kgの再生樹脂使用オフィスチェア「OBPシリーズ」(提供:アイリスチトセ株式会社)

OBPシリーズにおける1脚当たりに使用する海洋プラスチック再生樹脂量は、「TASQ-OBP(タスクオービーピー)」、「SIMFORT-OBP(シンフォートオービーピー)」、「Cryst-OBP(クリストオービーピー)」で、それぞれ2.29kg、2.35kg、0.36kgに相当しており、国内における環境配慮型商品の需要の高まりにより、同シリーズの導入が増加しました。

海洋プラスチック再生樹脂使用量の大台達成

今回、「OBPシリーズ」が発売開始されてから、海洋プラスチック再生樹脂の使用量累計が5トンに達しました。アイリスグループでは、今後も海洋プラスチック再生樹脂を活用した製品を積極的に推進されるとのことで、新しい製品の発売も期待したいですね。