地球史上最もヘビーな生物が発見されました。

独シュツットガルト州立自然史博物館(SMNS)を中心とする国際研究チームは、南米ペルーにて、約3900万年前の海に存在したバシロサウルス科(絶滅した原始クジラ)の新種化石を発見したと報告。

全長約20メートル、体重は最大で340トンと推定され、”史上最大”の称号を欲しいままにしていたシロナガスクジラの15万キロをダブルスコアで抜き去る結果となりました。

新種の学名は”ペルー産の巨大クジラ”を意味する「ペルセトゥス・コロッサス(Perucetus colossus)」と命名されています。

研究の詳細は、2023年8月2日付で科学雑誌『Nature』に掲載されました。

シロナガスクジラの2倍以上の重さがあった⁈

P. コロッサスの最初の化石は約30年前、ペルー南部イカ県の砂漠で発見されました。

それから今日に至るまでに、脊椎骨が13個、肋骨が4個、腰骨が1個見つかっています。

研究主任の古生物学者であるイーライ・アムソン(Eli Amson)氏によると、どの骨も非常に巨大で重量があり、1つの脊椎骨だけで150キロもあったという。

露頭から現れた骨の一部
Credit: SMNS – New early whale is possibly the heaviest animal of all time(2023)

調査の結果、骨の持ち主は約4100万〜3300万年前に存在したバシロサウルス科の一種と特定されています。

バシロサウルスは絶滅した原始クジラの一群ですが、現代のクジラとは違って遊泳能力に乏しく、温暖で浅い沿岸域に分布していました。

その中でP. コロッサスは既知のどのバシロサウルスよりも巨大で骨密度が高く、それぞれの骨に相当の重量があったようです。

そこでチームは発見された骨と近縁種のバシロサウルス化石をもとに骨格の全体像を復元し、さらに現生の海洋哺乳類から得られている骨格質量に対する軟部組織(筋肉や脂肪)の比率データを使って、推定されるサイズと体重を算出しました。

P. コロッサスの骨格の全体像
Credit: SMNS – New early whale is possibly the heaviest animal of all time(2023)

すると、P. コロッサスは全長約20メートル、体重は最低値で85トン、最大値だと340トンに達することが判明したのです。

サイズだけでいうとシロナガスクジラの全長24〜27メートルには及びませんが、体重は倍以上も重かった可能性があります。

これは過去に見つかっている生物の中で最も重い体重です。

恐竜なども非常に巨大で重いイメージはありますが、全長30メートルに達したとされるアルゼンチノサウルスでも体重は100トンほどです。

一方で、P. コロッサスの外観はシロナガスクジラのようにスタイリッシュではなく、かなり奇妙なものであることが分かりました。