2024年1月から新しいNISAが始まる。新NISAの生涯非課税枠は1,800万円に拡大し、最短5年で使い切ることが可能だ。

SNS等では「最短で全額投入すべき」という意見が散見される。たしかに複利の力を考えると、当然の帰結のように思えるが、果たして本当にそうなのだろうか。

「最短で全額投入」することの弊害を考えてみたい。

5年で全額投入する弊害

主に3つの弊害が考えられる。

弊害1:投資対象の変化に対応できない

早期5年で非課税枠上限を使い切ると、新たな投資妙味を感じる銘柄が出てきても、非課税枠を利用できない。

新NISAは非課税枠利用銘柄を売却すれば、非課税枠が復活するとはいえ、枠復活は売却の翌年なので機会損失につながりかねない。

よって、投資方針が固まっておらず投資対象銘柄が今後変わる可能性のある人は、最短での全額投入が向いていないと考えられる。

弊害2:市場の暴落から受ける影響が大きい

積立期間が長ければ取得時期が分散されるが、短期の積立は比較的取得時期が集中する。

仮に5年で1,800万円を積立てた後に、ITバブル崩壊やリーマンショック級の暴落が起きた場合、積み立てた資産が受ける影響は大きくなると考えられる。

よって、年間360万円の投資額が本人のリスク許容度を超えている人は、最短での全額投入は向いていないと考えられる。