兵庫県北部の湯村温泉に位置する「⼭陰湯村温泉 湧泉(ゆうせん)の宿ゆあむ」は、イタリアの世界最高峰のデザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2022-2023」において、シルバー賞を受賞した。

受賞したのは、杤尾直也氏がデザインした温泉半露天風呂付きの客室「かわみ」3タイプと、食事処「おりおり」だ。その魅力を紹介する。

兵庫の伝統工芸品をコンセプトにした温泉宿

「山陰湯村温泉 湧泉の宿ゆあむ」は、美人の湯として知られる兵庫県北部の湯村温泉に位置し、兵庫の伝統工芸品「豊岡杞柳(きりゅう)細工」をモチーフに“編む”というコンセプトで館内をデザインしている。

また、「身体に優しい」をテーマとした、素材重視の創作会席を夕食・朝食ともに愉しめる。

川を眺めながら入浴できる「温泉半露天風呂付き客室」

「A’ Design Award & Competition」は、毎年イタリアで開催され、優れたデザイナー、デザインコンセプト、プロダクト、サービスを選ぶ世界最大級のデザインコンペティションだ。

今回、同コンペティションのシルバー賞を受賞した、温泉半露天風呂付き客室の「かわみ」は、今年の2月に新設した。和のたたずまいを残しつつ、現代のシンプルで洗練された印象をつくり、これからの旅館のスタイルを提案したものとなる。

そして、「温泉半露天風呂付き客室」とすることで、天候を気にせずに窓から春来川(はるきがわ)を眺めながら入浴できるようにした。

客室専用の温泉半露天風呂からは、春来川のせせらぎと、春には桜並木、夏には山々の緑、秋には紅葉、冬には雪景色といった四季が愉しめる。

3タイプの客室

「スイート和モダン」は、6名でも宿泊可能な広さを誇る。小上がり、リビング、寝室を外に向かって⼀直線に配置した、和モダンなデザインのスイートルームだ。

「プレミアム和モダン」も数名で宿泊できる広い部屋。小上がりが窓側に位置しているので、窓を見下ろせば春来川の景色が部屋から愉しめる。

「スタイリッシュツイン」は、カップルにぴったりの部屋となっている。ブラックを基調とし、一直線にデザインされた客室は、まさにスタイリッシュだ。

「へぎおり」をモチーフにした食事処「おりおり」

同宿には、個室とオープンタイプの食事処「おりおり」があり、同食事処は「折折(へぎおり)」をモチーフとしてエントランスのカウンターや壁、椅子などをデザインしている。

折折は、木を削らずに手で割って薄く作られる板「へぎ板」を折って作られる小箱のことを指し、同食事処の随所で「織る」と「折る」をモチーフとしたデザインも愉しめる。

川や四季折々の自然を眺めながら、世界が評価した客室でゆったりと過ごしたい。

山陰湯村温泉 湧泉の宿ゆあむ
所在地:兵庫県美方郡新温泉町湯1610

(田原昌)