アメリカの場合、州の独立性が著しく高く、国民の関心事の多くは州議会の管轄になる。各州は、独自の憲法を有し、州議会は州内を統治するための法律を制定する。合衆国憲法や連邦法が優先されるのは、それらが州の憲法/法律と矛盾する場合だけである(American Center Japan)。連邦政府の役割が制約されているのであれば、その権力を抑制するためにも議員数は少ないほうがよい。

スイスも連邦制であるが、注目すべきは直接民主制である。国民には選挙権(間接民主制)とは別に、投票によって政治的意思を示す権利(直接民主制)が与えられている。

この制度は、国民が憲法改正を請求する「イニティアティヴ(国民発議)」、同じく国民が可決された法案の再審議を求める「任意的レファレンダム」、連邦政府が憲法改正や国際組織加盟の承認を国民に得るための「強制的レファレンダム」から構成され、有権者(18歳以上)は年に約4回、合計15件ほどの投票を行う(About Switzerland)。

国民が国家の意思決定に直接関与するのであれば、議会の比重は当然軽くなり、議員の人数も制限されることになる。

日本では、中央政府が大きな権限を持ち、例外的な憲法改正国民投票を除いて直接民主制も導入されていない。国会が国民の政治的意思を代表する唯一の場なのである。にもかかわらず、代表を減らすのは、成熟した民主国家の名に恥じる。

定数を減らしたからといって、劣化議員が減るわけでもないだろう。少数精鋭ではなく、多数精鋭こそが求められる。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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