トヨタに見るEV化の問題点と米国市場の現状
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

EVに対するトヨタの現状認識と普及への課題

トヨタの関係者も、「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを強調している。しかし、同社はEVだけに焦点を絞るのではなく、水素車、ハイブリッド車、プラグインなど、複数のエネルギーオプション車についても取り組みを継続している。

昨年12月、トヨタの豊田章男社長は「技術とインフラが未成熟なため、EV一辺倒のメーカーは、市場の声を聞いていないのと同様だ」と語っていた。

また、「自動車産業に携わるサイレントマジョリティは、EV化を世間のトレンドだと受け止め大声で話さないが、EVを唯一の解決策として取り組んでいいものか、大変疑問に思っている。つまり、誰も正解を知らないのであって、選択肢を1つに限定すべきではない」と語った。

さらに、トヨタ研究所のCEOは、「大規模なEVへの移行となれば、充電ステーションのインフラ開発や整備だけでなく、大量のバッテリーを製造するための原材料が必要になる。

そのためには、原材料採掘、再エネ発電設備、送電線、季節調整型のエネルギー貯蔵施設などの拡大が必要だが、その確立には数十年かかる。いずれは資源の制約もなくなるだろうが、EVのみが解決策では、長期に亘って、バッテリー材料や再生可能な充電資源を確保できない事態が発生する」と語った。

最後に、こうした国内外の現状から、EV化へと邁進する我が国の政策が大きなリスクを抱えていることを思い知らされる。寧ろ、現場の声を取り上げ、各種技術の特徴を活かしたビジネス展開を進め、米国EPAにも物申す姿勢を示しているトヨタに共感を覚える。

文・室中 善博

文・室中 善博/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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