台湾は、スターリンクの導入に後ろ向きだという。同国の元議員で、デジタルインフラの助言をしているというジェイソン・スー氏は、タイムズに、台湾の当局者がスペースXとスターリンクについて話し合いをしたが、中国と経済的利害を持つマスク氏に関する「多大な懸念」を理由に交渉が遅れていると明かした。テスラの新型車の約50%が上海で製造されており、当局者らは、中国政府が圧力をかけた場合、マスク氏がサービスを停止する可能性を警戒しているという。

ヨーロッパでもマスク氏の影響力が議論されている。

スターリンクの優位性に対する懸念の高まりを受け、EUは昨年、EU独自の衛星通信網の構築計画に基づき、2027年までに27億ユーロを拠出する計画を発表した。

権威主義の国からの批判にもさらされている。

昨年、イランで起きた反政府抗議活動で、マスク氏が活動家にスターリンクの利用を可能にすると、イラン政府はスペースXが主権を侵害したと非難した。

中国は今年、スペースXが衛星を軌道上に投入しすぎていることで、他の衛星が宇宙にアクセスするのを妨げていると国連委員会に訴えた。

トルコは今年2月に南部で起きた大地震の際、マスク氏からのサービス提供の申し出を拒否した。市民団体は、不利な情報がオンラインで拡散するのを防ぐ取り組みだとみなしているという。