ふるさと納税を行なえばお得なのは知っているが、具体的にどのようにどのような仕組み、手順になっているのかいまいちわからないという方もいるのではないだろうか。今回はふるさと納税の申請方法の手順を8ステップに分けて紹介する。
申し込み方法の概要
ふるさと納税の申請方法、8つのステップとは具体的には次の通りになっている。
- 自治体を選ぶ
- 寄付申込
- 寄付金支払い
- 返礼品が届く
- 確定申告する(3月)
- 還付・控除
- 特例申請書を自治体に申請
- 控除通知がくる(6月) ふるさと納税の仕組み自体は複雑なものではないので、一つ一つ順番に着実に実行すれば誰にでも申請可能だ。確定申告をする場合は1~6のステップを実行し、確定申告の必要が無い場合は1~4と7、8を実行するだけでふるさと納税が完了する。それでは8つのステップを一つずつ紹介しよう。
1 自治体を選ぶ
まずはふるさと納税をどの自治体に行なうかを決めなければならない。ふるさと納税で寄付されたお金はその自治体の税収となるため、もし応援したい自治体がある場合やあなたが生まれ育った自治体に納税を行ないたいということであれば、該当する自治体を選ぶといいだろう。
特定の自治体に寄付を行ないたいという事でなければ、数多くあるふるさと納税の返礼品の中からあなたが欲しい返礼品を用意している自治体を探すのが良いだろう。
ふるさと納税先の自治体を探すには総務省が開設しているふるさと納税ポータルサイト使うという方法もあるが、具体的な返礼品を見ながら分かりやすく自治体を選ぶには民間が運営しているふるさと納税ポータルサイトがわかりやすくおすすめだ。民間の納税ポータルサイトとしては、ふるさとチョイスやさとふる等が有名だ。
2 寄付申し込み
ふるさと納税を行ないたい自治体が決まれば、次は寄付の申し込みとなる。寄付の申し込みの仕組みは自治体によって多少違うが、民間の納税ポータルサイトを利用している自治体であれば、ポータルサイト上で住所、氏名、連絡先や寄付金額などの必要事項を入力し、返礼品を選択すれば申し込みが完了する。
民間の納税ポータルサイトを利用していない自治体の場合も、各自治体のホームページ上にある申請用紙に必要事項を記入し、メールやFAX、郵送など自治体が定めた方法によって書類を送れば申し込みが完了となる。
書類を手書きで記入し、郵送やFAX、メール等の手間がわずらわしいという方は民間のふるさと納税ポータルサイトを利用することで、サイト上だけで申し込みが完結するのでぜひ活用して頂きたい。
3 寄付金支払い
申し込みが終われば次は寄付金の支払いだ。支払方法も自治体や民間のふるさと納税ポータルサイトによって多少の違いがある。納税ポータルサイトを利用している自治体では金融機関からの振込や現金書留はもちろんの事、クレジットカードでの支払いにも対応している事が多い。一部自治体ではふるさと納税ポータルサイトを利用していてもクレジットカードでの支払いに対応していない場合もあるので注意いただきたい。
一方で民間のふるさと納税ポータルサイトに対応していない自治体の場合は現金書留や納付書払い、銀行振り込み、窓口払いなどでの対応が主な寄付金支払方法だ。クレジットカードには対応していないことが多いので注意が必要だ。実際に寄付金を支払う場合は、各自治体のふるさと納税のホームページから支払方法を確認し支払う必要がある。
4 返礼品が届く
無事に寄付が完了すれば、次のステップは自治体からの返礼品が届くのを待つことになる。
到着が楽しみな返礼品だが、もし数ヶ月たっても届かない場合は自治体の手続きミスなども考えられるのでその際は寄付先の自治体に問合せを行なおう。
実はふるさと納税は1カ所の自治体以外にも行なうことができる。もし様々な自治体からの返礼品が欲しい場合はそれぞれの自治体に分散してふるさと納税をおこなう事が可能だ。その場合も申請方法や寄付金の支払い自体は同じような手順で行える。多くの自治体にふるさと納税を行なえば届く返礼品の数も増えて楽しみも増える。
5 確定申告する(3月)
返礼品が届いた後は確定申告を行なう必要がある。この確定申告を行うことにより、ふるさと納税で寄付した金額から自己負担分2,000円を除いた金額が所得税、住民税から還付・控除される。毎年2月中旬から3月中旬までが申告期間となっており、その期間に前年の1月1日から3月31日までのふるさと納税で寄付した金額を確定申告する必要がある。
確定申告では所轄の税務署に行き申告書類を作成する方法や、税務署で確定申告書類を郵送する方法、又はe-Taxと呼ばれる制度を利用しインターネットで電子申告を行なう方法がある。
e-Taxを利用するにはマイナンバーに対応したカードリーダライタが必要になる為、用意が難しい方も多い。しかしe-Taxを利用せず、申告書類を税務署郵送する場合でも、確定申告の専用サイトから個人の前年の所得やふるさと納税での寄付金の額を入力するだけで簡単に申告書は作成可能だ。作成後は申告書をプリントアウトし添付書類を添えて税務署に郵送するだけで確定申告が完了する。
添付書類にはふるさと納税を行なった自治体から送られてくる寄附金受領証明書が必要となる。この書類はふるさと納税が正しく行われた後に自治体から送られてくる。確定申告には必要となる書類なので、なくさないように注意して頂きたい。その他に必要な添付書類としては勤務先から発行される源泉徴収票がある。こちらも必ず職場から受け取り、確定申告まで保管しておく必要がある。
6 還付・控除
確定申告が無事終われば各種税金の還付や控除が行われる。具体的にはふるさと納税で寄付した金額から自己負担分2000円を除いた金額が所得税、住民税から還付・控除される。
例を挙げて説明しよう。ふるさと納税を活用し1万円の寄付した場合、自己負担分の2,000円を除く8,000円が所得税や住民税から還付・控除される。注意が必要なのは、この8,000円がそのままあなたの口座に振り込まれるのではないということだ。
所得税と住民税はそれぞれ性質が違う。所得税の場合はサラリーマンの場合、月々の給与に対して所得税が天引きされている。つまり前年の所得に対しては既に納税を終えているのだ。一方の住民税に関しては前年の所得を基準に今年の税額が決まる。つまり確定申告を終えた時期には前年の所得に対する所得税は納付済みだが住民税は未納ということになる。
その結果、ふるさと納税での還付・控除は所得税に対しては既に納税した金額の中から還付されるので、所得税の還付金の分はあなたの銀行口座に振り込まれることとなる。一方住民税に対しての控除分は、今後支払う住民税が減額するという形で行われる。
具体的な金額としては所得に対するふるさと納税の上限額を超えなければ、ふるさと納税の自己負担額2,000円を除いた寄付金額が全額所得税、住民税から還付・控除される。1万円の寄付の場合は8000円が全額還付・控除されるのだ。
7 確定申告を不要に 特例申請書を自治体に郵送する方法
ふるさと納税を行ないたいが普段確定申告をしたことが無く、なかなか挑戦できないという方も多いだろう。そういった方におすすめなのが、確定申告不要のワンストップ特例制度の活用だ。
ワンストップ特例制度とは普段確定申告が不要な給与所得者等の方がふるさと納税を行なう場合、確定申告を行わなくても寄付金の控除を受けられる制度だ。対象となるのは普段確定申告をする必要が無い、ふるさと納税先の自治体数が5団体いない、ふるさと納税以外に医療費控除などの確定申告をする必要が無いという条件を全て満たす方だ。
自治体が5団体以内といっても1つの自治体から複数の返礼品をもらう場合も1つの団体とカウントされるので、5団体以内であればどれだけ多くの返礼品を受取っても問題ない。
具体的な申請方法はふるさと納税を行なった自治体のワンストップ特例申請書に必要事項を記入し、寄付先の自治体に送付するだけだ。特例申請書は送付される場合もあるが、届かない場合は各自治体のホームページよりダウンロード可能だ。申請書の期限は翌年1月10日となっているため、確定申告に比べ期限が短いので注意して頂きたい。
8 控除通知がくる(6月)
特例申請書を送付し、ワンストップ特例制度を利用し場合は、ふるさと納税を行なった翌年の6月に現住所の自治体より控除通知が送付される。確定申告での所得税、住民税の還付・控除とは違い、ワンストップ特例制度では所得税の還付はない。寄付金の2,000円の自己負担分を除くすべてが住民税から減額の扱いとなる。控除通知では寄付金に対して自己負担分2,000円を除いた額が減額された金額が住民税として控除されているはずなので確認いただきたい。
確定申告をする場合と違い所得税の還付はないが、所得税の還付分も住民税から控除されているので安心して頂きたい。
申し込む上での注意点
所得税や住民税の控除や還付を受けられるふるさと納税は活用すればお得であるのは間違いないが、活用する際に注意する点もある。
必ず注意すべき点としては、ふるさと納税後は忘れずに確定申告を行なう事だ。もし忘れてしまった場合は寄付をしただけで、税金の控除・還付を受けられず結果的に損をしてしまう可能性がある。確定申告をする必要のない方もワンストップ特例制度の申請書を忘れずに提出しよう。
他の注意点としては所得によってふるさと納税の自己負担金が2,000円で済む金額の上限が違うという点がある。それぞれの所得によってふるさと納税がお得にできる上限が変わるので、各自上限の確認も忘れないでいただきたい。
注意点を守り、今回紹介したステップ通りに行なえばふるさと納税の仕組みは決して難しくないものだ。ぜひ今回の申請方法のステップを参考にふるさと納税に挑戦してみてはいかがだろうか。
文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)
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