電話料金の明細書を見ると「ユニバーサルサービス料」という項目がある。定期的に見直しがされており、2017年1月からは「1番号あたり2円/月」と改訂された。これは「番号単価」と呼ばれており、2016年12月以前の番号単価は「3円/月」だったので、1円分安くなっている。

2月14日に高市総務相がユニバーサルサービス制度を見直す旨の発表をした。これは携帯電話が普及し、固定電話の必要性が薄まっているからだ。 

ユニバーサルサービスの目的と仕組み

一般にユニバーサルサービスといえば、電力や医療、郵便などの公共サービスを、地域格差のない状態で提供しようとする考え方だが、電気通信でいえば、主に3つの領域がある。それが「加入電話」、「第一種公衆電話」、「緊急通報」だ。これらは電気通信事業法第7条によって「公平かつ安定的な提供に努めなければならない」と規定されている。

かつて、これらのサービスはNTT東日本・西日本が全てを負担してきたが、現在では、携帯電話事業者やIP電話事業者といった計21の負担対象事業者も一緒になってユニバーサルサービスを維持している。その方法は負担対象事業者は利用している通信番号の数に従って、負担金を拠出するというものだ。

そしてユニバーサルサービス提供事業者と負担対象事業者の間に立って負担金額の計算、徴収、交付を実施しているのが電気通信事業者協会である。ここが仲介役となって正しくユニバーサルサービスの制度が運営できるように調整している。 

ユニバーサルサービス料は電話明細に記載

電話料金と言えば、普通は基本料と通話料の2つをイメージするだろう。基本料は通話の有無に関わらず発生する固定料金で、通話料は通話時間に伴って発生する変動料金だ。 電話回線を利用しているのだから、この2つが発生するのは当然理解できる。

また最近ではインターネット料金も電話料金に含まれていることがある。こちらはネットの基本料に加えて、プロバイダ料などが発生している。ネット料金については固定料金である場合が多いが、契約によって変動料金である場合もある。

こうした電話料金は通信会社が発行する明細書を確認すれば内訳を知ることができる。そしてこの内訳の中にユニバーサルサービス料が含まれていることも確認できるだろう。

このユニバーサルサービス料は固定電話だけでなく、携帯電話などの明細書でも確認できる。通信サービスを利用している人は自動的にユニバーサルサービス料を支払っているのだ。

ユニバーサルサービス料の算定方法は、電気通信事業者協会が年間の補てん額を算出し、それを2017年内の予想番号数で割って計算される。2016年の補てん額はNTT東日本・西日本合計で69億3,000万円、それを29億806万電話番号分で割った金額、「約2.36円」が1番号あたりの負担額と計算された。 

ユニバーサルサービスを見直す時期?

ユニバーサルサービス提供事業者であるNTT東日本・西日本では、このサービスを維持するにあたり損失を出しているともいう。このユニバーサルサービス制度の見直しが行われれば、大幅なコスト削減が期待できるとしている。

とはいえ、いまだに必要としている人も少なからずはいる。すぐにはユニバーサルサービス制度の見直しを実行できない状況にあるが、今後、総務省や通信会社を中心に、電気通信におけるユニバーサルサービスの見直しが行われることだろう。この結果次第ではユニバーサルサービスの領域が狭まる可能性もあるだろう。

ユニバーサルサービスの根本的な意味合いは、国民が公平に、安定的に通信を利用できることにある。固定電話もライフラインとしてはまだ欠かせない存在だ。最低限度のサービスの基準を見誤らないように、慎重に検討してもらいたい。

文・吉田昌弘(フリーライター)/ZUU online

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