米介護情報サイト「Caring.com」が1003人の米成人(18歳以上)を対象に実施した調査から、58%が「遺言状の作成や生前信託の設定をしていない」ことが判明した。
この傾向は年齢層が低くなるほど強くなるが、未成年の子どもがいる親の64%が「万が一に備えて」具体的な対策を投じていない。
日本では年々遺言状の作成件数が増加
遺言状や生前信託は相続手続きを円滑に進めるうえで、非常に重要な「故人の最後の意思」だ。多くの成人がそれに同意しているにも関わらず、手続きに踏みきれないケースが多いのはどこの国でも似たようなものだろう。
調査結果からは年齢と資産額が、「生前手続きをしない最大の言い訳」になっている。72歳以上の81%が遺言状や生前信託を用意しているのに対し、37歳から52歳は36%。18歳から36歳は22%と約4分の1にまで減る。
若い世代が相続手続きにまで気を回す方が不自然という意見もあるが、「なにかあったら両親が対応してくれるだろう」という甘えもあると指摘するのは、米ヒリス・ファイナンシャル・サービシズのジャック・ヒリス氏だ。
また若い世代の29%が「相続手続きをするほどの資産を所有していない」ことを、理由に挙げている。しかし死後の準備を整えておくのは、資産を譲るためだけではない。
例えば不幸にも未成年の子どもを遺して他界してしまった場合、子どもの後見人となる成人が必要となる。一般的には配偶者(あるいは元配偶者)や親族が後見人に指定されるようだが、遺言状では希望の後見人を指定することも可能だ。
けっして若者とは呼べないベビーブーマー世代(1946年から1964年前後生まれ/53歳から70歳)も、40%が手続きを後伸ばしにしているのはなぜだろう。ヒリス氏は、50代は「まだ自分の死について深刻に考えるほどの年齢に達していない」と、現実から目をそむける傾向が強いと分析している。
一方日本では年々遺言状の作成件数が増えている。日本公証人連合会の2013年のデータによると、家庭裁判所の検認をうけた遺言状は1万6708件、公正証書による遺言状は9万6020件作成された。しかし同年の65歳以上の高齢者だけでも3186万と報告されていることから、まだまだ広範囲に浸透しているとはいい難い状況だ。
文・ZUU online 編集部
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