つまり世界各地でドル離れが起きており、「通貨によるアメリカとの連関性」が薄れつつあると言ってもよいのでしょう。反アメリカの中国はここぞとばかり中国元取引を大規模に進めており、ロシアや中東、更にはブラジルあたりとも元取引を拡充しています。また香港市場を通じて中国資本市場向け投資では元をベースに開放するなど明らかにその勢いを増しています。

世界の決済通貨の規模ではドル、ユーロ、ポンド、円、元の順ですが、今年6月時点で円の比率は3.36%で元が2.77%、円の比率は下げトレンドで元は急速に伸ばしていることから2025年には逆転するとみています。80年代に騒がれた「円の国際化」は一部では盛り上がりを見せましたが、当時から識者は誰一人「そんなことが起きるわけがない」と非常に冷めた見方をしていました。私も当時、国際貿易を研究していたこともあり、非常に興味深いテーマだったなぁと回顧しています。

基軸通貨米ドルが崩れるとなれば日本経済にも大きな影響が出ます。なぜなら日本はアメリカの国債をドル建てで世界一、保有しているからです。

世の中の常識は永久には続かないことは肝に銘じるべきでしょう。もちろん、今日の話題も何か明白な変化がすぐに出てくるわけではありません。共通通貨を模索するということはドル信任が崩れ、世界経済がパニックになった時、ようやくその必要性を議論するからです。今はまだ、ほぼ誰も現実味をもってこの話題に取り組む人がいません。多分、タイミングとしては主要国でデジタル通貨が運用されるようになった時に変革の時期が来る、そんな気がします。2030年代でしょうか?

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月31日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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