スウェーデン側もここにきてコーラン焚書事件を操る影の勢力に気がついてきている。スウェーデンの国内治安機関(Sakerhetspolisen=セーカーヘットスポリセン)は、「コーランの焚書やその反応によってわが国の内部治安は危険にさらされている。わが国の寛容な国としての評判や評価が損なわれてきた。スウェーデンはムスリムやイスラムに対して敵対的な国とみなされるようになっている」と指摘し、スウェーデンへの国際的な憤り報道は、「意図的なキャンペーン」と受け取っている。
反スウェーデンキャンペーンでは、①スウェーデンにおけるムスリムへの攻撃が黙認されていること、②当局がムスリムの子供たちを「誘拐」している、というフェイク情報が含まれている。スウェーデンの治安部門は、国民や海外のスウェーデンの利益代表関連施設が攻撃を受ける危険性が高まってきたと予想している。テロ警戒レベルは5段階のうち3段階目の状況が続いている。
ボーリン民間防衛相は26日、「恣意的な反スウェーデンキャンペーンの背後にはロシアを含む国家や半国家の組織が暗躍しているとみている」と指摘し、ロシアを名指しで批判している。また、心理防衛機関のコミュニケーションチーフ、ミカエル・エストルンド氏は、「コーラン焚書の責任はスウェーデンにあるといった印象操作をしている。その目的はスウェーデン国内の緊張を高め、わが国のNATO加盟を妨げることだ」と、はっきり述べている(独ニュース番組「ターゲスシャウ」7月26日)。
ちなみに、隣国デンマークでは極右グループ「Danske Patrioter」のデモ参加者が25日、コペンハーゲンのエジプト大使館前でコーランを燃やした。デンマークでは1週間以内にこのような事件が3件起きた。同グループは前日イラク大使館前でイスラム教の聖典を燃やしている。
コーランを燃やすことで、イスラム教徒を煽って欧州全土を混乱に陥れる、といったプーチン氏の工作は、ここでは成功してきているのだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?