さて今回は、ニューヨークの不動産に投資するメリットとデメリットについて解説しましょう。

ニューヨークの不動産は、住宅価格の中央値や賃料が高いため、割高と思われがちです。しかし裏返すと、こうした価格はニューヨークの好調な経済と雇用市場を反映したもので、価値ある投資先ともいえます。

それではニューヨークの不動産を投資先に選ぶメリットはなんでしょうか。

1.高い人口密度と人口増加継続

マンハッタンは、山手線内側にすっぽりとはまる大きさの中に162万人が居住しており、先進国の中では世界有数の人口密度を抱えています。先進国では珍しく人口増加を継続しており、若年層が多く、将来の労働力の安定と賃貸需要が見込めます。

2.全米最大の経済規模

ニューヨークは、世界有数の巨大な商業集積と消費市場をかかえています。世界トップクラスの金融センター、起業都市、観光業界、映画産業を確立しているほか、主要メディアの本社、ヘルスケアのグローバルセンター、国連も本部を構えています。クリエィテブ系のトレンドの発信地としても知られています。

3.不動産市場の安定と成長性・流動性

力強い経済力と人口増加により、物件価格は長年緩やかな上昇を継続しています。災害時にも底固く、値下がりをしたとしても短期間で元の値に戻る傾向があります。中古物件の評価が高く、評価は築年数ではなく建物の状態で判断されます。また、アメリカではライフスタイルの変化に伴い家を住み替える傾向があるので、流動性が高いのも投資先として魅力です。さらに海外からの投資家が全体の20%を占めるなど、国内経済だけに影響されないことも、比較的安定した値動きを維持することに貢献していると考えられます。

4.驚きの空室率

年間を通してわずか3%を切る空室率。ニューヨーク市民の持ち家率は全体の30%です。世界中から数年単位の駐在員だけではなく、全米最大の学生の都市でもあるニューヨークには、およそ60万人の学生が国内外から質の高い水準の教育を受けるために移住してきます。常に高い賃貸需要があり、投資用として購入後の空室の心配が少なく、安定した家賃収入が期待できます。

5.不動産流通システムの透明性

不動産情報や価格が公表されていることに加え、ニューヨークの不動産取引は弁護士を通して行うので高い信頼性があります。

6.自然災害リスクが少ない

ニューヨークは地盤が固く地震がほとんどありません。10年に1度、震度1か2の小規模の地震があるくらいです。ニューヨークは緯度が高く(青森県と同じ位)ハリケーンに直撃する可能性が低く、過去10年間で2回発生したのみです。

7.世界の通貨・米ドルで安定資産を持つ

アメリカドルは、世界で最も信用があり利用されている基軸通貨です。アメリカで現物不動産を保有するという事は、将来に備えての分散投資先の一つとして賢明な選択です。ニューヨークの物件は長期間、安定した収益が期待できます。さらに外貨資産を持つことで円安に対するリスクヘッジにもなります。

以上のような強みを持つニューヨークの不動産市場ですが、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

1. 利回りが低い

マンハッタンの人気エリアの想定利回りは2~3%と低く、短期で利益を求める投資家には不向きです。ただし郊外であれば、想定利回りの高いエリアもあります。

2. 投資額が大きくなりがち

ニューヨークの物件価格は長年緩やかな上昇を継続しており、初期投資の金額が大きくなります。しかし逆に売却時にはキャピタルゲインが期待できます。郊外ですとお手頃価格の物件もあります。

3.為替リスクがある

海外に資産を持つことにはつきものですが、為替の変動で日本円に換算した場合に、資産の目減りが発生することがあります。