レンブラントやエドワード・ホッパーを連想させる、ドラマチックな光の表現に注目。

東京・六本木の「KOTARO NUKAGA」にて、森本啓太氏の展覧会「A Little Closer」が7月29日(土)から9月16日(土)まで開催される。同展は森本氏にとっては約2年ぶりの国内での個展であり、約20点の新作ペインティングが展示される予定だ。

森本啓太《Plastic Love》2023

森本啓太《Plastic Love》2023

美しさと神秘性を秘めた「ありふれた日常」の絵画を堪能

森本氏は1990年に大阪で生まれた若手画家。高校卒業後、単身でカナダへ渡り、2021年からは再び日本に拠点を移して活動を続けている。

「ありふれた日常」の瞬間を絵画にすることで知られている同氏。ファンタジーや特別な瞬間ではなく、ありきたりな風景の中に美しさと神秘性を見出し、作品へと変えるのだ。

森本啓太《Fading Out》2023

森本啓太《Fading Out》2023

今回の展覧会では、部屋の中や食事、ショッピングなど、自身と同世代の若者たちのプライベートな空間を描き出した新作を披露。

過去の作品と比較してさらにパーソナルな風景をモチーフにすることで、何気ない日常の一コマがドラマチックな瞬間へと変貌する瞬間を切り取る。

森本啓太《Long Day》2023

森本啓太《Long Day》2023

森本氏の作品には、鑑賞者がどこかで目にしたことがあるような光景や、実際に経験したことがあるような瞬間が描かれている。それによって鑑賞者の共感を引き出し、自分自身が絵画の当事者となったような不思議な感覚へと誘うのだ。

その瞬間の“ドラマ”を醸し出す森本氏の作品

同氏の作品には、“自分だけのショートストーリー”を考えさせてくれる面白さもある。

森本啓太《Golden Disarray》2023 、森本啓太《Tracks of Routine》2023

森本啓太《Golden Disarray》2023 、森本啓太《Tracks of Routine》2023

現代人の日常を捉えるような彼の作品は、描かれた瞬間の前後や、背景にある人々や社会との関係性を想像させる。それぞれの作品がさまざまな物語を連想させ、鑑賞者の個別の感情や思い出を呼び起こすのだ。

森本氏の絵画に秘められたドラマを想像し、新たな角度から絵画鑑賞を楽しみたい。

A Little Closer
会期:7月29日(土)〜9月16日(土)※日・月・祝日休廊
開廊時間:11時〜18時
会場:KOTARO NUKAGA
所在地:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F

(IKKI)