太陽光発電の導入費用と売電収入の目安
太陽光発電の導入にかかる費用と、売電収入の目安をそれぞれご紹介します。
初期設置費用
太陽光発電の初期設置費用は、主に太陽光パネル(モジュール)、パワーコンディショナー、架台、工事費、その他(接続箱、ケーブル、発電モニターなど)で構成されます。
これらの費用は、太陽光パネルの種類や性能、設置場所や方法、業者やメーカーなどによって異なりますが、一般的には 1kWあたり20万~40万円程度 が相場です。また、国の調査では、令和3年で1kWあたりの設置費用に平均30.3万円かかったとされています。
太陽光発電システム1kWあたりの初期費用は、以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
太陽光発電パネル | 17.4万円 |
パワーコンディショナー | 4.4万円 |
架台 | 2.3万円 |
工事費、その他の費用 | 6.2万円 |
合計 | 30.3 万円 |
したがって、一般的な家庭で最適とされる 4kW台の太陽光発電システム を導入する場合、設置費用に 100~200万円程度 かかることになります。
売電価格と収入の見積もり | 5kWの太陽光発電の場合 太陽光発電で得られる売電収入は、売電価格と発電量によって決まります。売電価格は、固定価格買取制度(FIT)に基づいて国が決めており、買取期間は10年間(参考:資源エネルギー庁)と定められています。
2024年度の売電価格は以下の通りです。
参考元:経済産業省
電源 | システム容量 | 売電価格(税込) |
---|---|---|
住宅用太陽光発電 | 10kW未満 | 16円/kWh |
事業用太陽光発電(地上設置) | 10kW以上50kW未満 | 10円/kWh |
50kW以上入札対象外 | 9.2円/kWh | |
事業用太陽光発電(屋根設置) | 10kW以上50kW未満 | 12円/kWh |
50kW以上 |
一方、発電量は、太陽光パネルの性能や設置場所や方向、日照時間などによって変わりますが、一般的には 1kWあたり年間約1000kWhといわれています。ただし、これはあくまで目安であり、実際の発電量は天候や季節などによって変動します。
例として、システム容量が5kWの住宅用太陽光発電システムを設置した場合の売電収入の見積もりを計算してみましょう。売電価格は10kW未満なので16円/kWhとします。発電量は1kWあたり年間1000kWhと仮定します。
年間発電量 = 5kW × 1000kWh = 5000kWh 年間売電収入 = 5000kWh × 16円/kWh = 8万円
このように、5kWの太陽光発電システムであれば、年間約8万円の売電収入が見込めるということになります。ただし、これはあくまで理想的な状況での計算であり、実際には機器の劣化や故障などによって発電量が減少する可能性もあります。
なお、太陽光発電の売電価格(1kWあたりの税込買取価格)の過去推移一覧は以下の通りです。
年度 | システム容量 10kW未満 | |
---|---|---|
出力制御対応機器設置義務 | ||
なし | あり | |
2009年度 | 48円 | |
2010年度 | 48円 | |
2011年度 | 42円 | |
2012年度 | 42円 | |
2013年度 | 38円 | |
2014年度 | 37円 | |
2015年度 | 33円 | 35円 |
2016年度 | 31円 | 33円 |
2017年度 | 28円 | 30円 |
2018年度 | 26円 | 28円 |
2019年度 | 24円 | 26円 |
2020年度 | 21円 | |
2021年度 | 19円 | |
2022年度 | 17円 | |
2023年度 | 16円 | |
2024年度 | 16円 |
2009年度に48円だったのが2024年度には16円に。ここ10年間で売電価格が半額以下へと下落した影響はやはり大きく、現実的には「売電価格で収入を得る」というよりも、日々の電力料金の節約効果の方が大きいでしょう。
税金はどれくらい?
住宅用の太陽光発電設備は基本的に課税対象にはなりません。しかし、出力が10kW以上の設備は固定資産税の課税対象となるので注意が必要。また、全量売電、つまり太陽光発電で発電した電力をすべて電力会社に売る場合は「売電事業者」扱いになります。その収入は所得として申告する必要があるので、金額が大きければ所得税がかかる場合があります。
太陽光発電のメンテナンス費用の目安
住宅用の場合は1年に1回程度メンテナンスをしつつ、不具合が起きた時には修理を行えば十分です。メンテナンス費用は1回につき1万円~2万円程度です。
太陽光発電のメンテナンスにかかる費用の内訳は以下の通りです。
発電の規模 | メンテナンス費用の目安 |
---|---|
住宅用太陽発電 | 1~2万円 / 1回 |
低圧太陽光発電 | 10~15万円 / 1年間 |
高圧太陽光発電 | 50~200万円 / 1年間 |
太陽光発電の導入時に保険に加入していれば、特に自然災害や事故などでの故障に対しては保険が下ります。よってメンテナンスの負担自体はそこまで大きくはありません。
あなたの家が太陽光発電に適しているか確認するためのチェックポイント
この記事をお読みの方の「自宅」が、太陽光発電に向いているかどうかのチェックポイントをご紹介します。
自宅の電気の使用量と太陽光発電の発電量 先に、5kWの太陽光発電システムの想定年間発電量は年間でおよそ5,000kWhであることを紹介しました。この発電量は一人暮らしの場合は「多すぎる」ケースがあります。
以下は、世帯人数別の一般家庭での平均電気使用量です。
世帯数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 |
---|---|---|---|---|---|---|
使用量/日 | 6.1kWh | 10.5kWh | 12.2kWh | 13.1kWh | 14.8kWh | 18.4kWh |
1人あたりの使用量/日 | 6.1kWh | 5.25kWh | 4.06kWh | 3.27 kWh | 2.96kWh | 3.06kWh |
使用量/月 | 185kWh | 320kWh | 370kWh | 400kWh | 450kWh | 560kWh |
使用量/年 | 2,220kWh | 3,840kWh | 4,440kWh | 4,800kWh | 5,400kWh | 6,720kWh |
3人家族以上であれば年間で必要とする電気使用量と太陽光発電の発電量が近いため、導入の恩恵を感じやすいといえます。
もっとも、世帯人数に関わらず電気料金の節約効果に加えて、緊急時の電力源として役に立つことは事実です。「緊急時の電力源」としての効果を一番に考える場合は、電力が余ってしまう場合や思うような売電収入が無い場合でも導入の価値があります。
市町村の規制や近隣住民とのコミュニケーション
太陽光発電を導入するにあたっては住んでいる市町村によって規制や条例が異なるため、事前に住んでいる自治体の条例を確認しましょう。また、先述した通り太陽光パネルは向きによって近隣の住宅に迷惑をかけてしまうことがあります。設置の前に近隣住民に事前に知らせておくなどの配慮も必要です。
住宅や屋根の形状・条件の確認
記事内で紹介した通り、太陽光パネルは土地や自宅の屋根に影響されます。設置を検討する前に、そもそも自宅の屋根が太陽光発電に向いているか確認し、制約条件も把握しておきましょう。
まとめ
太陽光発電の売電価格が年々下がっており、収入的なメリットはかなり少ない状態です。また、家や屋根の状態によっては太陽光パネルの設置に向かない場合も。とはいえ「緊急時の電力源」を確保できる点は大きなポイントです。
近隣住民とのトラブルを避けるためにも、まずは住んでいる自治体の規制や条例の確認と設置予定の住宅の状態の確認を行いましょう。
文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
【関連記事】
・ドコモの「ahamo」がユーザー総取り! プラン乗り換え意向調査で見えた驚愕の真実
・【Amazon】注文した商品が届かないときの対処法を解説!
・COSTCO(コストコ)の会員はどれが一番お得? 種類によっては損する可能性も
・コンビニで自動車税のキャッシュレス払い(クレカ・QRコード決済)はどの方法が一番お得?
・PayPay(ペイペイ)に微妙に余っている残高を使い切るにはどうすればいいの!?