検査代が異常に高額な米国では検査そのものが絞られてしまうが(大腸内視鏡検査は約100万円)、日本では救急車も簡単に手配できるし、保険診療でCT検査が受けられるのでこの数字はかなり低くなると思う。虫垂炎で1週間入院すると500万円もかかる米国と比べて、救急車や公的医療保険など日本は本当にありがたい国だ。

膨大な情報があふれる中、すべてを人間の記憶力に頼るのは限界がある。常識的に考えても無理だという現実を直視すれば、AIやデジタルの活用は医療の質を維持するために、不可欠だとつながるはずだ。

患者さんや家族が種々のデジタルツールを駆使すれば、自分の病気に対してかなり詳細な情を持つ患者さんと相対することになり、医療現場の物理的・精神的負担はますます過度になる。医療側が、AIやデジタルを活用して患者さんと共に医療の質の向上に努めていくことが重要だ。

一般の方もリテラシーの低いメディアも、100%の正確さを求めること自体が非現実的であることを理解した上での対応が求められる。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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