帝国データバンクは、国内の上場企業約3,800社を対象に行った調査・分析の結果を発表。2022年度決算期(22年4月~23年3月期)における上場企業の平均年間給与(平均給与額)は638万円となり、過去20年で最高額を記録しました。
平均給与が20年で最高額、過去2年連続の増加傾向
前年度の624万円より14万円(2.2%)と、2年連続で増加しています。また、日本国内の平均給与額443万円と比較しておよそ200万円も高い水準となりました。
さらに、前年度と比較すると、平均給与が増加した上場企業は68.9%を占め、前年度の66.7%から増加しています。特に、30万円以上増加した割合は25.3%と、全上場企業の4社に1社で大幅な賃上げが行われたことが分かりました。
輸出企業の好業績や円安の追い風、物価高や人手不足を背景とした賃上げ機運の高まりが、上場企業の平均給与額上昇に寄与しているようです。
運輸・倉庫業が増加率最高、転換する給与水準
平均給与額別に見ると、「500万円台」が1059社・27.7%を占め、最多に。ただし、「500万円台」の社数は2020年度以降2年連続で減少しており、賃上げなどにより「600万円台」(935社・24.5%)以上に移行する企業が増えています。
「1000万円以上」の企業は総合商社やM&A仲介、メディア、不動産など134社があり、過去20年で最も多い数となりました。全上場企業の約9割が日本国内の平均よりも高い水準で給与を支給しているとのことです。また、2022年度平均給与額が最も高かったのは、M&Aアドバイザリーや仲介業務を手掛ける「M&Aキャピタルパートナーズ」(3161万円、東証プライム)でした。
業種別にみると、前年度から平均給与額が増加した上場企業の中で、最も多かったのは「運輸・倉庫」で、増加率が78.4%に達しました。空運・海運業の回復や人手不足によるトラック運転手の賃金上昇などが要因となり、平均給与額の増加が相次いだようです。また、「卸売」や「サービス」業界でも7割以上の企業が平均給与額の増加を記録しています。
23年度も賃上げ予想、優秀な人材確保へ企業が対応
帝国データバンクが1月、全国約1万社を対象に行った調査では、2023年度において賃上げの意向を表明した企業が過去最高水準に達していることが分かりました。人手不足による「労働力の定着・確保」を目的とした賃上げが約7割を占める一方で、生活支援や物価高の影響を受けて判断した企業も増えています。
同社によると、優秀な人材確保が上場企業にとって難しい状況であるなか、待遇改善による人材の確保が進んでいるとのこと。今後も上場企業の給与水準は上昇傾向が続き、賃上げの動きが広がると予想しています。