スペインでテロと麻薬犯罪を専門とする法廷アウディエンシア・ナシオナルは米国からの彼の身柄の送還の要請は政治的動機が強いとしてその要請を当初却下した。ところが、検察はその判決を不服として上訴。その結果、再審で米国への送還が言い渡された。
その判決を不服として彼は行方をくらました。スペインから一歩も出ることなく、3か月ごとに住む場所を変えていたのである。しかし、遂に彼の居場所が見つかり逮捕された。
再度法廷に上がった彼はスペインのサパテロ元首相がマドゥロ大統領から賄賂を受け取っていることやポピュリズム政党ポデーモスが誕生したのはチャベス元大統領から資金が提供によるものだということを明らかにしたのである。
この情報を更に詳しく提供する代わりに、米国への送還を見送るという交換条件を出した。チャベス政権時にポデーモスには日本円にして9億円余りが提供された。その後マドゥロ大統領も彼に政治資金を提供していた。ヨーロッパにボリバル革命を実現させるべくポデーモスに資金を提供したというのである。
サパテロ元首相は現在もマドゥロ大統領の代理人のような形で国際的に動いている。それに対して彼の所属政党内でさえも彼に味方する者は誰もいない。またイタリアで政党五つ星運動が誕生した時もマドゥロ氏が資金を提供した。
サンチェス政権は総選挙で敗北する前にエル・ポーリョの送還を邪魔しなかったこの交換条件はスペインの現政権社会労働党には都合の良い内容ではない。なぜなら、サパテロ元首相は社会労働党出身であり、またポデーモスについても現在のスペイン政府はポデーモスとの連立政権である。だからこの二つの点を暴かれるとサンチェス首相の政府には都合が良くないのである。
ということから、彼の情報提供をスペインの法廷は暗黙裡に拒否した。そこで彼の弁護団はヨーロッパ人権裁判所にスペインで実施された裁判は人権を損害するものであるとして訴えた。
しかし、今月ヨーロッパ人権裁判所はその不服を却下した。そこでスペインのアウディエンシア・ナシオナルは彼を米国に送還するための指令を早速出した。そして、彼の弁護団がそれに不服申し立てるのを待たずに彼は米国に送還されたのである。
この時、その送還を一時的にでも阻止できるのがスペイン政府であった。ところが、スペイン政府は裁判所の独立を尊重するとして沈黙を守った。その背後には今月23日の総選挙で社会労働党とポデーモスの連立政権は敗北するのが確実だからである。
野党の保守党が政権に復帰すると、この二つの案件の調査を開始する可能性があり、そうなると敗北者となるサンチェス首相にとっても都合が悪くなるからである。だから、エル・ポーリョ・カルバハル氏が選挙に敗北する前にスペインから去ってくれるのが都合が良いというわけである。だから、サンチェス政権も彼の米国への送還に何もしなかったのである。(7月19日の「OKディアリオ」から引用)。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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