ここ数年、コンビニ業界各社が推進しているセルフレジ化。大手3社のうちファミリーマートとローソンは、客自ら商品バーコードを読み取り機にかざして決済するセルフレジ設置店舗を増やしている。一方で業界最大手のセブン-イレブンは、精算部分のみ客がセルフで行い、バーコード読み取りは従来どおり店員が対応するセミセルフレジを導入し、完全セルフレジへの移行には一歩及び腰な感がある。そこで今回は、コンビニ事情に詳しいエコノミストの藤原裕之氏に、コンビニ各社のセルフレジ戦略について解説してもらう。
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危機的な人手不足が招いたコンビニセルフレジ化の流れ
まずはコンビニ各社がセルフレジに移行し始めた背景を確認しておこう。
「大きな理由は人手不足でしょう。2018年に経済産業省がコンビニ各社のFC(フランチャイズ)店オーナーたち約1万人以上に行った調査によると、従業員不足という回答は全体の61%にも及んでおり、その理由は『コンビニでできることが年々増え続けることに伴う業務の複雑・過酷化でアルバイトが減っている』というものです。一方で人件費の高騰も頭が痛い要素のはず。23年の全国平均の最低賃金額は時給961円で、岸田首相は23年内に最低賃金を時給1000円まで引き上げることを目指しています。そんな背景があり、20年ほど前はコンビニ1店舗の人件費は、だいたい月120万円~140万円でしたが、今では月180万円~200万円になっています。これらを解決する方法として、コンビニ各社はセルフレジの導入をここ数年で急速に拡大させてきたわけです」(藤原氏)