前置きは長くなったが、ベータ・カテニンと結合するタンパク質も見つかっているおり、ベータ・カテニンがそれらのタンパク質と結合するのを防ぐとがん細胞の増殖が止まるのだ。われわれも研究を続けていたが、ぺプチドは不安定なので、それを治療に使う発想はなかった。しかし、技術が進歩し、ペプチドを安定化させる技術、ペプチドを細胞内に送り込む方法も進んで、この記事に至ったのだと思う。
しかし、ペプチドをがん細胞だけに送り込むのには、まだ、壁があるし、正常な細胞にも悪い作用をするのでは、など不安は残る。と言って躊躇っていても、技術は進み、今日の不可能が明日は可能になるのが現実だ。エビデンスがないと、批判している間に、海外では革新が起こることをわれわれは体験しているはずだ。
それにしても今日はいい写真がたくさん撮れた。

metamorworks/iStock
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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