自然への想いがとても深いアーティスト。その儚い自然の揺らぎや、個人的な記憶や意識、家族や友への感情などが、いろいろな形で感じられて、彼女自身がアートとして表現されている感が強い。

35mmフィルム、お見事(フランソワ・ピノーはこれを見学した時、軽く船酔いしたそう。わかる、私もちょっと(笑)。映像、映像の動き、そして音まで素晴らしい作品)。

小さい頃から、雲にさらわれたい、と思っていたそう。すごくよくわかる。自然光の魅力たっぷりでこの光もキュレーションの一部になっているブルス・ド・コメルスの会場は、彼女の展覧会にぴったり。”うつろい”という言葉が、彼女によく似合う。

スピーチ後、すすす~っとタシタに近寄り、「素晴らしい展覧会をありがとうございます! ザ・ダンテ・プロジェクトのセット&コスチュームも素敵でした! 3回見ました!」とすっかりファンモード(笑)。

今度は、太陽がしっかり差し込むタイミングで見にこよう。18分30秒のフィルムも、全部見よう。

帰る前、2階に上がって、愛するサイ・トゥオンブリーの展示室へ。ダニエル・スティーグマンの空気や光を意識した作品群と絡めた”セソストリスの征服”を、独り占め。このキュレーション、独特の光の中の浮遊感があって、本当に素敵だと思う。

バイバイまたね、ブルス・ド・コメルス&フランソワ・ピノーコレクション。

編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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