本格的な鰻屋でご飯を食べようとすると、お店の込み具合にかかわらず、必ず待たされます。いったいなぜなのでしょうか?
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今年もウナギは高い
梅雨明けも見え、まもなく酷暑のシーズンがやってくるこの時期。土用丑の日である7月30日が近づき、メディアもウナギ関連のニュースを流しはじめる頃です。
しかしここ数年、ウナギはあまり手頃とは言えない食材になってしまっています。ウナギ養殖に必要なシラスウナギが、乱獲や環境変化などで大きく数を減らした結果、養殖物のウナギの値段が高騰してしまったためです。
シラスウナギは毎年春に各地で漁獲され、ウナギ養殖池に入れられるのですが、今年もその数は低水準となっています。特にシラスウナギの主要産地のひとつ宮崎県では、過去最低だった2018年を下回り過去ワーストの量だったといいます。
資源量減少の出口が見えないなか、このままではウナギは超のつく高級魚となってしまうかもしれません。
関東の人が知らない珍味「半助」
お金はないけどウナギは食べたい、そんなとき我々庶民はいったいどうすればいいのでしょうか。やや変化球の解決策ではありますが「半助」を食べるという考え方があります。
半助とは、ウナギの頭のこと。関西ではウナギは頭を付けたまま腹開きにして焼くという伝統があるのですが、提供するときは頭を落とすため、しっかり焼きあがった頭が余り物となります。これが半助です。
半助はじっくり煮ればとても良いだしが出るので、豆腐と一緒に煮た「半助豆腐」などで食べられています。半助すらも以前よりは値上げしていますがそれでも本体よりは安く、頬肉や首回りなど意外と可食部もあって、ウナギを食べた気分を手軽に味わえます。
ただし残念なことに、半助の存在は関東ではあまり知られておらず、手に入れるのも難しいことが多いです。
なぜ鰻屋は客を待たせる?
たまにはちょっと贅沢してもいいから土用丑にウナギを食べたい!という人は、やはり鰻屋で食べるのがオススメです。量販店の素性の知れない臭みのあるウナギを食べるよりも、結果として遥かに満足度は高いでしょう。
ただし、その際注意しないといけないのは「時間に余裕をみておく」こと。本格的な鰻屋というのは必ず提供までに時間がかかり、1時間近く待たされることも普通です。
これは、本格的なお店では注文を受けてからウナギを捌く、そうでなくても必ず捌きたてを調理して提供するためです。
ウナギ類の中でもとくにウナギは鮮度落ちが早く、捌いておいておくことが難しいといわれます。また焼くにあたっても、ウナギは筋肉内に脂肪が入り込んでおり、これが爆ぜるようにしっかりと火を入れないと臭みが残るために遠火の強火でじっくりと焼き上げなくてはならないのです。
関東風のお店の場合はこれに加え「蒸し」の工程が入るため、なおさら時間がかかります。
基本的には鰻屋では「待ち時間も楽しむ」のが流儀と言われます。ウナギと同時にツマミと酒を注文し、一杯やるのが通とされるのもそのためでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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