竹工芸の心と技を伝え、明治時代から続く「竹雲斎」の名を受け継いだ四代 田辺竹雲斎氏。そして開店90年を迎え、日本の歴史や文化を振り返る記念企画を数か月にわたって行ってきた日本橋高島屋。
関連行事のひとつとして「四代 田辺竹雲斎展 守破離」を開催する。期間は7月20日(木)から8月6日(日)までで、開催に先がけて正面ステージに作られるインスタレーションは必見だ。
伝統技術と現代アートを融合する四代 田辺竹雲斎氏
幼少期から竹工芸を始めた田辺氏。東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業後、父である三代目に師事し、2017年に四代 田辺竹雲斎を襲名する。今回は近年のテーマである「守破離」の集大成の展覧会として、竹工芸の新たな可能性を模索した新作を一堂に展示する。
「守」は歴代竹雲斎の「竹雲斎七技」など、“伝統”を継承した作品群だ。
初代竹雲斎が得意とした重厚な編み方「荒編み」、二代竹雲斎が編み出した繊細な透かし編みの技法「亀甲編み」や「鱗編み」、三代竹雲斎が取り組んだ200年前の弓矢の矢竹を用いた構造的な作風などを再現する。
「破」は異分野とのコラボレーション作品や、現代アート作品だ。
「花無心・Disappear(ディスアピア)」シリーズは、シンガポール在住の建築学者・デジタルアーティストの貝島佐知子氏の構造計算による設計図をもとに編み上げられた作品。今回はデザイン図や計算式などのデジタル画面で制作工程にも迫る。
異分野の若手工芸作家とのコラボレーションも反響を呼んでおり、今回は初めて平面作家との融合作品を発表する。コラボレーション作家は小黒アリサ氏(木彫)、笹井史恵氏(漆)、鈴木翔太氏(金属)、田島周吾氏(日本画)、若杉聖子氏(白磁)、若宮隆志氏(漆芸)。
「守破離」の最後、「離」は巨大インスタレーションだ。2016年フランス・ギメ東洋美術館での巨大インスタレーションから、世界9か国の制作や作品を紹介する。