個人的には仮にアメリカが利上げしたらYCC修正をする公算はより高まると見ます。理由はそれがほぼ最後のチャンスになるからです。年後半から来年にかけて円高が進行しやすくなりますのでその時期にYCC修正をしたら為替の動きに拍車をかけることになり、市場が混乱する公算があります。それを避け、植田新総裁がスムーズな運営をしたいなら今回がラストチャンスではないかとみています。

日本銀行HPより
本稿を書いている時点で為替は既に138円台半ばから前半で、日本の株式には重くのしかかるでしょう。底堅い感じは銀行株。私が数か月前に不況の半導体関連でもない、業績が悪化する商社でもなく、金利上昇でメリットがある銀行株と申し上げたと思いますが、それは変わっていません。
植田新総裁は目先の金融政策とは別に四半世紀の日銀政策に関するレビューを行っています。これは来年まで作業が続きます。最大の疑問は2%のインフレ目標は妥当なのか、であります。アメリカや欧州が2%を目指すのと日本のそれとは次元も諸条件も違うはずです。より成熟し、人口が縮小する国に於いて2%を維持するのは輸入物価の上昇に伴う悪いインフレを伴いやすいと思います。個人的には1.5%ぐらいに修正してもよいだろうと。
一方、極端な低金利政策は実体経済への刺激と言う点から効果は薄いと考えるべきでマイナス金利がまだ残っていることに違和感を覚えています。金利の観念がないのは坊主とイスラム教ぐらいであって、金銭と時間軸の関係はプラスの金利であるべきです。仮にマイナスに突入してもそれは一時的なものでなければならないのです。
むしろ日銀は90年代初頭以降、あらゆることに忖度しすぎたと思います。時の政権、社会、経済界、更には個人の住宅ローンなど、それらをメディアが質の悪い報じ方をすることで日銀が縮こまってしまった、これが私が見るバブル以降の日銀政策ではないかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月13日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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