海底の砂のなかに潜っている二枚貝類は、魚のように網で漁獲することができません。そのため、様々なユニークな道具を使って獲られています。

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日本各地にある【二枚貝を漁獲するためのユニークな漁法】 棒を突き刺すが主流?

ホッキガイの「突き獲り漁」

北海道で先月、伝統漁である「ホッキガイの突き獲り漁」がスタートしました。北海道南部の北斗市では、解禁日に15隻の船が出船し、400kgほどのホッキガイが収穫されたそうです。

日本各地にある【二枚貝を漁獲するためのユニークな漁法】 棒を突き刺すが主流?ホッキガイ(提供:PhotoAC)

突き獲り漁というのは、長い棒の先についた4本の金属製の爪で貝を挟み込んで獲るという漁法です。海底に浅く埋まっているホッキガイを獲るのに適した漁法なのですが、砂の中のホッキガイを棒から手元に伝わる感覚のみで探し当て、海上まで持ち上げるのは鍛錬が必要だといいます。

この突き獲り漁では、収穫サイズに満たない小さい貝は爪に挟まり切らずに落ちてしまうため、自然と大きいサイズだけを漁獲する形になります。そのためSDGsな漁法であるといえるでしょう。

二枚貝のユニークな漁

さて、北海道から遠く離れた有明海でも、いまとある二枚貝のユニークな漁がおこなわれています。その貝とはウミタケ。

ウミタケは水管が非常に長く、泥の海底に埋まりながら水管を上に伸ばして生息しています。

日本各地にある【二枚貝を漁獲するためのユニークな漁法】 棒を突き刺すが主流?ウミタケ(提供:茸本朗)

ウミタケ漁ではまず、T字型の棒を海底に刺し、くるりと回転させます。そうするとウミタケの水管がT字の部分に引っ掛かり、そのまま海上まで持ち上げられてしまうのです。

このT字の棒をネジ棒と呼ぶため、この漁は「ネジ棒漁」と呼ばれています。

タイラギやマテガイも

これらのような「二枚貝のユニークな漁」はほかにも存在します。「タイラギの潜水漁」もその一つ。

大きな貝柱が高級寿司ネタとなるタイラギは、三角形の尖った殻を海底に差し込んで生息しており、漁獲には海底まで潜る必要があります。そのため、まるで宇宙服のような潜水具を着て、船上から空気を送りながら海底まで潜って獲る潜水漁がおこなわれています。

日本各地にある【二枚貝を漁獲するためのユニークな漁法】 棒を突き刺すが主流?タイラギ(提供:PhotoAC)

瀬戸内海や、長崎県の大村湾で行われる「マテガイの突き漁」もユニークです。海底に縦に深い穴を掘って潜っているマテガイ(アカマテガイ)は、西日本ではしばしば市販される人気の食材です。

彼らは巣穴に塩を入れると飛び出してくることで潮干狩りの人気ターゲットとなっていますが、漁業においてその方法を用いるのはあまり効率がよくありません。

そのため、ロープにつなげた細長い針を海底におろして突き刺し、潜っているマテガイに刺して採る「突き漁」という漁が行われています。

海に囲まれたわが国では、これらのように、各地に様々な「貝のユニークな漁」が残っているのです。

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<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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