地元では現職の自民党国会議員と連携するが、野党に籍を置く保守系国会議員の支持層からも支持を受けるためやむを得ない措置だという。このような地方政治家は、この町議だけではなく、全国津々浦々で見られることだと著者は言う。
「ある一人だけが『自民党公認』となれば、町内各地の自民党支持層の票を、その人が集める。それは、ずるい」とは、本書で取り上げられた宮城県大河原町の事例だ。発言の主は保守系無所属として町議でありながら、地元自民党支部長も務めた男性だ。
こういった「素性不明」の地方議員の多くは自民党籍をもっていると推計されるらしいが、それを証明する公式のデータがあるわけでもない。そもそも入党自体が、極めてアナログかつ、資格審査もなくいい加減な代物でもある。
このように公式統計には出てこないものの、いざ国政選挙となれば全国各地でそれぞれが自民党の集票マシーンとして動く。「自民党の魔力」に引き寄せられた地方議員たちが、この国の巨大与党を最前線で支えているのである。
瞬間的には維新に強い追い風が吹いているように見えるが、しかし全国各地に根を張った自民党のネットワークは健在だ。メディア関係者が、まるで自民党が大敗するかのように選挙情勢を嬉々として語るほど老舗政党が地域に張り巡らせた基盤は脆弱ではない。
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提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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