皆さんは、市販のお弁当についている、「サカナ型の醤油差し」を一度は見たことがあるのではないでしょうか。実はこの醤油差しには名前があったみたいです。商品の種類や歴史も含めてご紹介していきます。
(アイキャッチ画像提供:株式会社旭創業)
サカナ型醤油入れの名前
「ランチャーム(※)」。これがお弁当によくついている魚型の醤油入れの名前です。この「ランチャーム」は大阪市に本社がある「株式会社旭創業」が開発・商標登録している、調味料等を入れる小型容器のこと。
この「ランチャーム」と名がつけられた背景には、「ランチをチャーミングに」というキャッチコピーがあります。容器の原料はポリエチレン製で、発売からおよそ70年が経つ、超ロングセラー商品です。
(※)「ランチャーム」は 株式会社旭創業の登録商標です。
「ランチャーム」の種類
皆さんも「お弁当によくついている魚型の醤油入れ」と言えば、一発で頭に思い浮かぶと思います。しかしこの「ランチャーム」は、一口に魚型の容器といってもいくつか種類があるみたいなので、ご紹介していきます。
容器タイプ
通常の魚型だけではなく、金色の魚の容器や、ブタ型の「ランチャーム」などもあり、そのラインナップ数は27種にもなります。
中にはレンジ対応や、点字付きのタイプもあるみたいです。さらに、中身の醤油やソースは地域によって好まれるメーカーの商品を組み合わせることができるとのことで、筆者はこの「ランチャーム」という商品に奥深さを感じました。
フィルムタイプ
これもお弁当によくついている、醤油入れです。この「フィルムタイプ」も「ランチャーム」と呼ぶとのことで、筆者は驚きました。
「フィルムタイプ」は、ナイロンフィルム製のダイヤパック、スティックタイプと、アルミ蒸着フィルムを使用したシルバータイプがあります。特にシルバータイプは、容器タイプやナイロンフィルムと比べて酸素を通しにくく、中身の劣化が進みにくいみたいです。
商品誕生の歴史
いまでは、当たり前のようにお弁当についている、「ランチャーム」ですが、よく考えてみてください。「ランチャーム」は発売から70年近く経っているロングセラー商品ですが、なぜ当時から「ポリエチレン製の小型容器」に着目したのか気になりませんか。
そんな疑問も含め、「ランチャーム」の発売にいたるまでの歴史を簡潔に書いていきます。(出典:株式会社旭創業HP)
創業者のひらめき
「ランチャーム」が誕生したのは、昭和29年。当時から、お弁当に醤油などの小容器は入っていたみたいですが、容器はガラスか陶器が主流であったようです。
そんな中、㈱旭創業の創業者である渡辺輝夫氏が、経済新聞を読みながら、「使い捨てであるのに割れたりして危険でありコストも高い。安くて安全なものを作れば消耗品だけに絶対売れる。これからはポリエチレンの時代になる」と確信し、商品開発に移行したのが始まりでした。
試行錯誤
そこから来る日も来る日も機械づくりに励みました。長い台の上に延板をはめ込み、そこへ直径2cm足らずのポリエチレンチューブを流し込み、醤油を注入して切断しようというものでした。
現代でこそ、加工、断裁などの精密機械が考案されていますが、全くゼロの状態から、それを創ろうというものだったのです。その苦労はたいへんなものでした。失敗に失敗を重ね、それでも挫けず改良に改良を重ねました。
製造機の完成~「ランチャーム」誕生
そして、ついに「ランチャーム」を製造するための機械が完成されました。完成した機械で製造したサンプルには、いっぱいに詰まった醤油が艶やかに光っており、断裁面も堅く密封され、醤油も全く漏れていませんでした。
いままでにない商品が誕生した瞬間です。その後大阪へ進出し、ある百貨店からの引き合いをきっかけに、全国からの注文が殺到。
そこからは全国で商品展開し、現在では「弁当についている魚の醤油入れ」なら知らない人はいない、商品に成長しました。