運動には肌を美しくする効果もあったようです。
立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究チームは、ポーラ化成工業株式会社と共同で、有酸素運動と筋力トレーニングが「皮膚の老化」を改善し、若々しい外見に貢献する可能性があると発表しました。
運動が身体に及ぼす影響は広く知られていますが、皮膚にどのように影響するのかは、まだ十分に理解されていませんでした。本研究は、筋力トレーニングが皮膚を若返らせるメカニズムを示した最初の報告となります。
研究者はこの結果が、運動のメリットを1つ増やすことになり、運動をする人が増えるきっかけになればと話しています。
研究の詳細は、2023年6月23日付の『Scientific Reports』誌に掲載されました。
有酸素と筋トレはどちらも皮膚を若返らせる
運動は私たちの健康寿命を延ばすための重要な手段で、脳の機能や筋肉の健康を改善する効果があることは、よく知られています。
しかし、皮膚の老化に対する運動の効果についてはまだ十分に理解されていませんでした。
特に、筋力トレーニングの皮膚に対する効果については世界的にも先行研究がなく、そのメカニズムが明らかにされていなかったのです。
ただ皮膚の老化は、紫外線や大気汚染など外部からの刺激と、ホルモンバランスや炎症性サイトカイン（体の防御反応を調節するたんぱく質）の増加など体内の影響によって起こると考えられています。
これらは、皮膚の弾力性や水分保持能力、また真皮の形成に重要な成分であるコラーゲンやエラスチンを劣化させます。
真皮は皮膚が若々しく見えるために重要な部分なので、この厚みが減少すると顔のシミ、シワ、たるみなどが現れる原因になるのです。
そのため、もし運動がホルモンやサイトカインの血中濃度に及ぼす影響を理解できれば、運動が皮膚の老化に及ぼす影響も明らかにできるかもしれません。
そこで今回の研究者たちは、「有酸素運動」と「筋力トレーニング」の2つの運動タイプに着目し、これらがホルモンレベルや体の機能にどのような影響を及ぼすかを調査しました。
結果として、どちらの運動タイプも、皮膚の弾力性と真皮構造を改善することがわかりました。特に筋力トレーニングは、真皮の厚みを増加させ、見た目を若々しくする可能性があることが示されました。
