ゆるい糖質制限を一年以上続けています。炭水化物を意識的に減らし、動物性たんぱく質と、ナッツ類や野菜は好きなだけ食べる。確かに、体重は減って、人間ドックの数値も改善しましたが、この方法で本当に良いのか、いつも半信半疑に思っています。

また、健康や食生活に関するこんな疑問も、いつもモヤモヤと頭の中でくすぶっています。

著名人や有名人が薦めている食事法や健康法が万人に通用するものなのかどうか。 あるいは、ヨーグルトやバターなどの食品が、本当に体に良いものなのかどうか。

アメリカで活躍する医師 津川友介氏の新刊「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」では、そのような疑問に科学的な見地から、説得力のある情報が提供されています。

食事に関しては、正しい知識を持たない専門家(医師、栄養士)が誤った情報を伝えてしまうリスクや、省庁が発表する健康に関するガイドラインが関連業界のロビイングによって歪められてしまう可能性を指摘しています。国内て提供される情報の多くには、バイアスがかかっているのです。

また、食べるものを「成分」で考えるのではなく、「食品」で考えることが重要という指摘も新鮮でした。

テレビなどのメディアで流される「●●は体に良い」といった情報も間違っていることが多いのです。例えば、体に良いと多くの日本人が信じているベータカロチンも発がん性を高めるリスクがあり、トマトに含まれるリコピンが体に良いというエビデンスも存在しないそうです。

緑黄野菜を食べるのは病気のリスクを下げるが、ベータカロチンだけをサプリメントで摂取すると病気のリスクを高める 果物は糖尿病を防ぐが、フルーツジュースは糖尿病のリスクを高める

何となく体に良いと思っていることが実は有害だったというのは、正しい情報が提供されていないからです。

本書では、メタアナリシスと呼ばれる複数の研究結果をとりまとめた研究手法、さらにはランダム化比較試験という手法によって、導き出された体に良い食品と悪い食品が示されています。ここでいう「体に良い」というのは、脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げるという意味です。

<健康のために摂取すべきもの> 魚 野菜と果物(ジャガイモ以外) 茶色い炭水化物 オリーブオイル ナッツ類

<健康のために摂取すべきではないもの> 赤い肉(牛肉や豚肉) 加工肉(ハムやソーセージ) 白い炭水化物(じゃがいもを含む) バターなどの飽和脂肪酸

今までたくさん読んできた、健康になるための食事に関する書籍の中では、膨大なデータとエビデンスに基づいた最も説得力のある書籍だと思いました。

健康に関心のある方には強く一読をお薦めします。

<参考図書> 「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」 津川友介

文・内藤 忍/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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