ElArbolito/iStock

「伊藤さん(著者)、この国って、ほんとうに民主主義なのかなあ?」

世界最大の民主主義国、共通の価値観、対中包囲網…。インドを語る際に象徴的に使われるこれら数々の言葉は決して間違ってはいないが、しかし私たち日本人の過剰な期待と幻想がそこには込められている。日本人の視点で都合よくインドを解釈すると、多くの人は現地に降り立って直ぐにその実態に戸惑う。

菅義偉前首相が故・安倍晋三元首相の後を継ぐ形で就任した日印協会の会長として、7月4日から7日の日程でインド訪問することが発表された。岸田外交を民間側から補完し多層的に日印関係を強化する目的は明確ではあるが、本書を読めば決して多くを望むべきではないことも良く分かる。