もっとも、厳密にいえば、企業年金自身ではなく、その資産運用を受託している運用機関が株主として行動するのだから、企業年金による運用機関への働きかけという意味で、「運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)」という表現が採用されているのである。なお、念のためだが、「スチュワードシップ活動」というのがガバナンス改革を促す株主の機能のことである。
従って、企業年金の「アセットオーナーとして期待される機能」を、「スチュワードシップ活動」を通じたガバナンス改革という側面だけに限定すれば、企業年金は単なる道具にすぎず、その保有資産のなかでなされている運用機関を通じた株式投資だけに意味があることになる。実際、そのように企業側は理解しているのであろう。
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森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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