IPCC第6次評価報告書第3作業部会は、提出された2,425のシナリオのうち、1,202のシナリオの一部に基づいて、世界の緩和経路の分析を実施。IPCCの著者が審査・選定基準を決定したため、評価されたシナリオは科学を代表するものではない。 シナリオの選定基準において国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の衡平性、共通だが差異ある責任とそれぞれの能力の原則の遵守が考慮されていない(事実、政策決定者のための要約では「モデル化されたシナリオと排出経路…社会経済変数と緩和オプションを含む様々な仮定に基づいており・・・ほとんどの場合、地球規模の衡平性、環境正義、地域内の所得分配について明確な仮定はしていない」と記述している) 10地域分類を使用し、パリ協定の気温目標に対応し 、IPCC WGIII評価の一部であるすべてのシナリオについて衡平性評価を実施すると、すべてのシナリオが現在の先進国・途上国間の不平等を永続化させる非常に不平等な未来を予測しており、発展途上国の成長、発展、化石燃料、エネルギー使用を制約するものとなっている。

このように途上国はIPCCのシナリオを前提とした議論に異を唱える可能性が高い。COP28では今後の目標引き上げや途上国支援の帰趨に大きな影響を与えるGSTをめぐって先進国、途上国が激突することになるだろう。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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