ところで、スパイ活動の取り締まりの強化に乗り出しているのは中国共産党政権だけではない。ロシアのプーチン大統領は今年2月28日、モスクワで開かれたロシア連邦保安局(FSB)幹部会拡大会議で、「ロシアの社会を分裂、破壊しようとする違法行為を摘発すべきだ」と訓示し、国内の諜報機関FSBに対し、西側のスパイ活動への対策強化を求めた。

実際、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が今年3月30日、FSBにスパイ容疑をかけられ、拘束された。米メディアの記者がロシアにおいてスパイ容疑で拘束されたのは冷戦後で初めてだ。インタファクスによると、FSBは「米国政府の利益のために、機密情報を入手しようとしていた」とスパイ行為の疑いを主張した。プーチン大統領はプリゴジン反乱の背後には欧米情報機関の関与があったとして、これまで以上に外国人に対して監視体制を強化するはずだ。

中国共産党政権がスパイ関連法を強化し、ロシアも外国への監視強化、スパイ摘発を強化していることに日本が懸念を表明することはいいが、それ以上に急務なことは、繰り返すが、日本でもスパイを取り締まる「スパイ防止法」を早急に施行することだ。野党やメディアの反対のために「普通の国家」として当然の「スパイ防止法」が施行できないとすれば、残念ながら岸田文雄首相は落第だ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年7月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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