「最大のライバル=韓国」から次の時代へ

この試合を含め、日本代表の各年代での対韓国戦スコアが、なんと5試合続けて「3-0」となった。

2021年3月に行われた国際親善試合日韓戦(A代表)で3-0。2022年6月に行われたU-23アジアカップの準々決勝(U-21日本vsU-23韓国)で3-0。同月U-16インターナショナルドリームカップ2022(U-16日本vsU-16韓国)で3-0。さらに2022年7月には、E-1サッカー選手権2022でA代表が3-0。そして今回のU-17アジア杯決勝での3-0である。

長い間「最大のライバルは韓国」と言われてきた日本サッカー界。球際で上回られ勝てそうで勝てなかった時代は終わったと言っていいだろう。

2022年のカタールW杯でドイツやスペインを破った日本が目指すのは、2050年までのW杯優勝。そのための新たなステージに踏み出すべく、ライバル関係もアップデートすべきではないか。

FIFAワールドカップフランス大会(1998年)の日本代表 写真:Getty Images

世界に羽ばたく日本代表選手たち

ヨーロッパでプレーするいわゆる「欧州組」の日本人選手も増え続けており、A代表のほとんどを占めるまでになっている。日本が初めて出場した1998年のフランスW杯では、全員がJリーグ所属選手であったことを考えると隔世の感がある。

欧州の第一線で活躍する日本人選手も世界で取り上げられ、高校卒業とともにすぐに海外へ旅立つ選手もさほど珍しくなくなった。欧州でプレーする選手たちのバックアップを考え、日本サッカー協会はドイツのデュッセルドルフにも拠点を構えているほどだ。

A代表は、今2023年9月に国際親善試合でドイツ、トルコと対戦予定。時期的に欧州サッカー連盟(UEFA)加盟国すべてが参加するUEFAネーションズリーグが開催されており、欧州各国と頻繁に親善試合を行うことは難しいなか、このような好カードを組めている。日本サッカーが国際的に一定の評価を受けていることの表れと言えるだろう。


FIFAワールドユース選手権(1999年)の日本代表 写真:Getty Images

今年11月、U-17W杯で成功体験を

今回のU-17アジア杯で優勝した日本、準優勝の韓国、3位となったウズベキスタンとイランは、今年11月にインドネシアで開催されるU-17W杯に出場する。元々ペルーで開催予定だったが、インフラ整備の遅れなどを理由に返上され、インドネシアで開催されることになった同大会。開催国インドネシアを含め24か国が出場し優勝を争う。

前2019年大会ではグループリーグを首位で通過したものの、決勝トーナメント1回戦でメキシコに敗退しているU-17日本代表。日本サッカーの歴史において、女子は各年代のW杯で優勝経験があるのに対し、男子は1999年にナイジェリアで開催されたU-20W杯(当時FIFAワールドユース選手権)で準優勝の経験はあるが、優勝経験はゼロだ。

継続的な努力が一定の成果となりつつある日本サッカー界の成長速度をさらに上げるためにも、明確な成功体験が欲しいところ。育成の手腕に長け、選手との関係性も良好な森山佳郎監督に率いられたU-17日本代表が、今年のU-17W杯で成功例となることを期待したい。そして「優勝トロフィーが持ち上がらない」という森山監督の“小ボケ”を再び見たいものである。