腕時計における近年の傾向として、ここ2〜3年はカラー文字盤が大きく注目されているが、もうひとつ顕著なものとして挙げられるのが復古調のデザインだ。

機械式腕時計の黄金期ともいえる1950〜60年代のデザインから範をとったものや、ブランド自体の過去のアーカイブからリバイバルさせたものなど様々ある。

特に後者については2021年に発表されたヴァシュロンコンスタンタンの“222”がそうだったように、歴史ある高級ブランドの場合は、古典的なディテールを再現しつつも現代的なアレンジを加えるというよりは、最新技術を使って当時のオリジナルに限りなく忠実に再現するという傾向が強まっているとさえいえるほどだ。

この復古調のデザインは、買い手からするとその古っぽさがいまとなっては逆に新鮮に感じるし、作り手からするとすでに歴史的な背景があって商品のストーリー性も明快のため「訴求しやすい」。近年各社から数多く商品化されているのにはこんな背景があると思われる。

そして今回、そんな復古調のデザインから10万円台という手の届く価格帯のモデルを三つほどピックアップしたので紹介したい。どれも歴史のある海外時計メーカーながら、近年新体制で復活したという点でも共通する3ブランドである。

ともに過去のアーカイブから名作を再現した現代版。加えてどれも20気圧防水以上というタフさを備えつつケースサイズは39mm以下という程よいサイズ感というところもポイントだ。

ゾディアック|スーパーシーウルフ53 スキンオートマチック

【39mm以下の程よいサイズ感で高防水】 復古調デザインが妙にそそる機械式腕時計3選
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

1882年にスイス、ル・ロックルに創業。53年には、当時としては画期的な20気圧防水を備えたシーウルフを発表するなど、実用時計を製造する歴史あるブランドである。そして、現在はフォッシル・グループが本格時計ブランドとして展開、2014年から過去の名作をベースにしたヘリテージコレクションを拡充させている。

新生ゾディアックの基幹コレクションのひとつとして製作されたのが “スーパーシーウルフ53”だ。オリジナルのシーウルフを現代風に仕上げたこのモデルは、ユーザーの意見を取り入れつつ、実物を参考にしながら開発しており、安易なアレンジを加えることなくオリジナルの雰囲気を大切にしながら作られているという。

■Ref. ZO9213。SS(39mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.STP 1-11)。19万8000円

協力:タイムギアオンラインショップ

ニヴァダ・グレンヒェン|スーパーアンタークティック

【39mm以下の程よいサイズ感で高防水】 復古調デザインが妙にそそる機械式腕時計3選
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

“ニバダ・グレンヒェン”は ヤコブ・シュナイダーによって1879 年設立と歴史は古く、実用時計を得意とするスイスの時計ブランドである。クォーツショックの煽りを受けて1980年代に一度はその歩みを止めたが、2019年に復活を遂げた。

ここに取り上げたスーパーアンタークティックは1955年から56年にかけてアメリカの南極探検ミッションにも採用され、過酷な環境下の使用にも耐えうる腕時計として高い評価を得た傑作の現代版である。装飾的なものは一切加えず視認性を重視したシンプルなデザインが際立つ。

■Ref.91412A04。SS(38mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.Soprod P024)。15万9500円

協力:H°M’S” Watch Store 表参道