SPACに参加している抜け目ない伊藤忠商事

 このランバン・グループには、なんと伊藤忠商事も参画しているようだ。私は、前回の論考でアダストリアが汗を流せば流すほど、ブランドライセンスの元締めである伊藤忠商事に、お金が落ちてくる元締めビジネスの旨みを明らかにした。

 仮にブランド力を失った日本企業が世界的ブランドのライセンスを使えば、結局は伊藤忠商事に「チャリン、チャリン」とお金が入ることになる。今回伊藤忠商事のブランドホルダー範囲がどこまでかは分からないが、彼らのこれまでの動きからみて、広大な中国大陸と日本、そして、韓国・台湾までもライセンスを持っている可能性もある。いわゆる有名な伊藤忠商事の「ブラマ」(ブランド・マーケティング)戦略だ。

 ただ、大事なのは「それでは、ランバンにそれだけの力があるのか?」という問いだが、それには「YES」と答えられなければならない。

 確かに、日本で「LANVIN」の陰は薄いし、私の周りの人間に聞いても「おじさん臭い」という意見が多く、ランバンがLVMHになるわけがないという意見が圧倒的だ。

 しかし、私の視点は全く逆だ。ランバン・グループはSrgio Rossiやcarusoなどを買収し、さらに、これからも力がある小さい欧州企業やアメリカ企業を買収してくるだろう。ひょっとしたら、日本のブランド力がある企業にもTOBをしかけてくるかもしれない。伊藤忠商事は、そのときに力を発揮するだろう。

 私が新生ランバンだけでなく中国企業やファンドによる日本買いが増える理由は、私たちが想像したことがないスケールで欧州や日本、米国の一流ブランドを買って世界のコングロマリットになる可能性が高いからだ。考えてもらいたい。なんの根拠もなく「オワコン」と揶揄され、株価は低迷し円も安い今、外資企業からみれば日本企業は大バーゲンである。

 私は先日、某新聞社との討論で真っ向から対立した。彼らは日本政府はあらゆる政策を取り、政府によって日本企業は国際化するという夢物語を主張した。それに対し、私は、日本政府にはまったく期待できない。日本企業の世界化は、外資企業によってなせられると主張したことを最後に付け加えておこう。

提供元・DCSオンライン

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