ヴァカンスのために生きている、と言っても過言ではないフランス人。日頃の話題の多くも、「次の冬休みのスキーは、オーストリアに行くんだ」「この間の夏は、かねてから念願だった日本に遊びに行ってきたよ」など、休暇の話が尽きない。
多くのフランス人は、夏と冬に2〜3週間のヴァカンスを取るが、それ以外にも、週末を使った小旅行を楽しむことも多々。そんな週末旅行に好まれるのが、スパをメインにした癒し系の旅だ。
魅力的なスパを併設したホテルはフランス各地にあるが、今回紹介するのは、フランス東部、ドイツと国境を接するアルザス地方のオベルネイにある、ホテル「ル・パルク」に併設する「ヨナグニ・スパ」だ。
クリスマスマーケットで有名なアルザス地方の首都ストラスブールから、南に電車で30分ほどの街、オベルネイ。

オベルネイの街の様子Nellmac/iStock
アルザスらしい木組の家が立ち並び、教会の屋根には幸せのシンボルであるコウノトリの姿が見える、歴史豊かなのどかな街。この街で70年近く前に創業した「ル・パルク」は、この地方を代表するホテルの一つだ。

落ち着いた雰囲気のホテル客室
古きよき時代のアルザス地方の宿という面影を残すホテルレストランは、現在、創業家の4代目兄妹が切り盛りして歴史をさらに紡いでいるが、2020年、敷地内に「ヨナグニ・スパ」をオープン。このスパが、世界的に注目されている。

4代目オーナー、マキシム&マリ・ウシェー兄妹と、マリの夫でレストランのシェフを務めるシリル・ボナール

”与那国島”からインスピレーションを得たスパ
2500m2の広大なスパ。迷路のようにデザインされた、胸まで水に浸かる温水水路が数十メートルに渡り張り巡らされており、水路を立ち泳ぎで進んでゆくとコースのあちらこちらに、ジェット水流やトロピカルシャワー、ジャグジーなど、さまざまな仕掛けが施された10のウォータールームが現れる。

コンテンポラリーでミステリアスな雰囲気をたたえるウォータースパは、水のラビリンス