黒坂岳央です。
世の中には一定数、口を開けば自慢ばかりする人間がいる。いや昔の自分もそうだったのでえらそうなことはいえない。だが完全に止めた。知識と経験を積むほどに「自慢にメリットなし。デメリットしかない」ということを心底理解できたからだ。過去の自分の言動を振り返ると目を覆わんばかりの愚行をしていたわけだが、自ら気づいて止めることができて本当に良かったと思っている。
自慢の恐ろしい事実に「自慢する本人はそのデメリットに気づくことが難しい」がある。大の大人がこれをやると周囲は笑ってスルーするが、基本的に誰も止めるように注意をしてくれない。多くは裸の王様になってしまう。改善の機会がないまま損失を出し続けることは、とても恐ろしいことだ。
ビジネスコミュニケーションと人間関係の観点から、具体的な3つのデメリットを取り上げたい。

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まず自慢をする人はシンプルに敬遠される。当たり前だ。自慢を聞かされて楽しいと感じる人はいない。その逆に同じ属性の人を引き寄せる力がある。
自慢をしたい欲求に突き動かされる人種は、常に自慢できるチャンスを伺い、飢えている。そのため、自慢する人を認めるや「この相手には自慢をしていい」と引き寄せ合う。類は友を呼ぶ、という言葉通りだ。
しかし自慢の欲求を持つ者同士が集まるとまるで地獄絵図のようになる。なぜならお互いが自慢をしまうわけなので、マウントの取り合いの様相を呈するためだ。一切の生産性などなく、ただただお互いに疲弊して終わる。
2. バカにされる次はバカにされてしまうというデメリットを取り上げたい。自慢は暗に「自分の限界値はここ」というPRをしていることになる。どういうことか?
たとえば「自分はあの有名大学卒だ」とか「自分は資産を1億円も持っている」といったことを積極的に吹聴していたとしよう。だがそうなるともっと上の水準の人から「この人はそんな矮小なレベルで満足する小者だ」と見られてしまう。世の中、上には上がいる。つまり、井の中の蛙とバカにされてしまうのだ。
ちなみに実績のPRと自慢はその境界線がかなり距離が近く、取り扱いが難しい。ビジネスにおいては自慢はご法度でも、実績のPRは積極的にした方が良い。
たとえばプログラマーなら、これまでどの言語でどういった成果物があるか? とか資格を有しているか? といった実績をPRすることで、クライアントワークや就職・転職で優遇される。これは自慢ではない。なぜなら実績のPRは優秀な人材に仕事を頼みたい先方の判断基準に寄与するからだ。マッチングを成功裏に導くWin-Winの関係性がある。
一方で自慢は違う。聞いている人に何らメリットを提供することがない。そして厄介なことに承認欲求の沼にハマると自分では実績のPRをしているつもりなのに、聞く側には自慢にしか感じられないという情報の非対称性が生じるのだ。これは気をつけたい。