最近の技術革新は利便性向上に資する一方で、犯罪技術の進化にもつながっています。その一例が、マルウェア作成方法の共有などに使用されるダークウェブです。

韓国のスタートアップ S2Wは、ダークウェブ専用のAI言語モデル「DarkBERT（ダークバート）」を開発。サイバー脅威に効果的に対応するための技術として、世界中の注目を集めています。

同社は現在、日本市場への進出も準備中。そして2023年6月19日（月）、S2W日本語公式ホームページを公開しました。

“闇のネットワーク”と呼ばれるダークウェブ

ダークウェブ上で共有されているChatGPTでマルウェアを作成する方法の実例

ダークウェブは、匿名ベースのネットワークで、麻薬・情報漏洩・ランサムウェア・ハッキングといったサイバー犯罪の温床となっています。

このダークウェブにアクセスすることは技術的に困難であり、捜査機関や企業が実体を把握するのは至難の業。そのためダークウェブは“闇のネットワーク”と呼ばれています。

サイバー犯罪者の使用言語を分析、脅威情報を抽出

「DarkBERT」は、ダークウェブでサイバー犯罪者が主に使用する言語を分析し、脅威情報を抽出するAI言語モデル。これにより、ダークウェブとその複雑な内容について、一層の理解が可能となります。

S2Wは、「DarkBERT」を搭載したサイバーセキュリティソリューションを展開。ダークウェブをリアルタイムにモニタリングできる専門検索エンジン「XARVIS（ザービス）」、サイバー脅威インテリジェンスプラットフォーム「Quaxar（クェーサー）」、仮想資産追跡およびモニタリングソリューション「EYEZ（アイズ）」などがあります。

DarkBERTのAI言語モデル生成過程及びサイバーセキュリティにおける活用領域 （論文内容）

これらのソリューションの主な目的は、「ダークウェブ上の犯罪・脅威活動に対する正確な把握と分類」「ランサムウェアおよび情報流出サイトに対する検出」「サイバーセキュリティや犯罪に対する重要な脅威活動のモニタリングおよび検出」「犯罪者やハッカーが使用する隠語や新造語に対する高い理解力と推論」です。

同社のソリューションは、国際刑事警察機構（ICPO）を含め、世界中の捜査・情報機関から大きな関心を集めており、実際に犯罪捜査に活用して事件を解決する事例も増えているといいます。ちなみに同社は、ICPOの公式パートナー企業です。