二極化する中間の「プチ贅沢」的な需要

 そんなマーロウが好調な理由は何か。

「もともとバイヤーとしてその辣腕を振るってきた白銀氏の経営戦略が、うまく機能してきたことが理由でしょう。というのも同社は実店舗での展開はさほど急がず、まずはオンライン販売で10年じっくりとブランドが広まっていくのを待つという戦略をとっていました。初期からプリンメインの実店舗をどんどんオープンさせても、それでは知名度が広まりにくいと考え、まずはオンライン販売に注力したのでしょう。また、地元の神奈川から出て東京進出する際の店舗選びも秀逸で、東京出店の足がかりとして高級洋菓子店が集まる銀座を選んだのもうまいですね。『高品質なプリンを提供する』という同社のポリシーとブランディングに合った、的確な戦略といえるでしょう」(同)

 そんなマーロウだが、近年はコロナ禍が追い風になっていたのだという。

「メディアのインタビューで白銀氏は『40年以上好調を維持している』と語っていますが、確かに好調ぶりがうかがえます。20年に『西武池袋本店』をオープンし、すでに出店していたそごう横浜内に、飲食できる『マーロウブラザーズコーヒー』というカフェもオープンしています。22年には同ブランド初となる大規模工場『MARLOWE YOKOSUKA FACTORY』も作っていますからね。コロナ禍でも業績を伸ばしていた、からあげ専門店などは中食需要をうまく捉えたものでしたが、マーロウもこの中食需要にマッチして、流れに乗れたのだと思います」(同)

 現在の洋菓子業界のなかでマーロウはどんな立ち位置になっているのか。

「洋菓子業界における消費傾向は、厳しいお財布事情を捉えた低価格路線と、その反発から需要の高まっている、質にこだわった高価格路線で二分化していています。そんななかで1個1000円未満という価格帯を保ちつつも、味にこだわったマーロウのプリンは、両方の需要をうまく捉えたプチ贅沢的な需要を満たしているので、今後も伸びていくでしょう」(同)

「洗練された王道の味わい」と「堅実かつ的確な経営戦略」が、40年間も好調を維持し続ける理由だったようだ。

文・A4studio/提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?